2020 Fiscal Year Annual Research Report
点欠陥を骨組みとする新しい同素変態―鉄鋼材料の新たな高強度化法の開拓
Project/Area Number |
20H00309
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
荒河 一渡 島根大学, 学術研究院理工学系, 教授 (30294367)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 点欠陥 / 転位 / 鉄 / 透過電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、透過電子顕微鏡法を駆使して、鉄における微小点欠陥集合体である「欠陥同素体」についての基礎的問題を解明することを目的とする。本研究は、点欠陥が導入される幅広い過程における微細組織発達を理解する上での基盤となるものである。 本年度は、金属の変形下における微小点欠陥集合体と塑性変形のキャリアーである転位間の相互作用を透過電子顕微鏡観察するためのシステムを構築した。また、鉄における点欠陥集合体の一種である転位ループとすべり移動するらせん転位間相互作用の観察に成功した。その結果、転位ループとらせん転位間の相互作用には、大きな温度依存性があること、高温では、常温では起こらない「非弾性的」な反応が起こること等が明らかにされた。 理論計算によれば、「欠陥同素体」は点欠陥集合における転位ループの前駆体と考えられている。上記の知見は、欠陥同素体と転位間の相互作用を理解する上での基盤になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、金属の変形下における微小点欠陥集合体と塑性変形のキャリアーである転位間の相互作用を透過電子顕微鏡観察するためのシステムを構築した。また、鉄における点欠陥集合体の一種である転位ループとすべり移動するらせん転位間相互作用の観察に成功した。その結果、転位ループとらせん転位間の相互作用には、大きな温度依存性があること、高温では、常温では起こらない「非弾性的」な反応が起こること等が明らかにされた。 一方で、他施設での遂行を予定していた、「欠陥同素体」挙動の高分解能透過電子顕微鏡観察については、コロナ禍による事実上の出張規制のために必ずしも当初の計画通りに進められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、鉄の変形下における微小点欠陥集合体と転位間相互作用の透過電子顕微鏡観察を進める。また、「欠陥同素体」挙動の高分解能透過電子顕微鏡観察を進める。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] 超高圧電子顕微鏡による金属における重い欠陥の量子移動の観測2020
Author(s)
2.荒河一渡, M. C. Marinica, S. Fitzgerald, L. Proville, D. Nguyen-Manh, S.L. Dudarev, P.W. Ma, T.D. Swinburne, A.M. Goryaeva, 山田哲也, 網野岳文, 荒井重勇, 山本悠太, 樋口公孝, 田中信夫, 保田英洋, 安田哲也, 森博太郎
Organizer
日本顕微鏡学会 第63回シンポジウム 顕微鏡オンラインフォーラム
Invited