2021 Fiscal Year Annual Research Report
Atomic scale imaging of ultrafast electron dynamics
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20H00341
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 昭二 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90447227)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 超高速分光 / テラヘルツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シングルサイクルのテラヘルツ(THz)パルスと走査トンネル顕微鏡(STM)を組み合わせたTHz-STM装置を開発・改良し、サブピコ秒時間分解能かつ原子分解能で電子ダイナミクスのイメージングすることを目指している。本年度は主に、(1)遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)単原子層作成手法の確立 (2)単層MoS2の励起子ダイナミクスの計測(3)アクティブ除振台の導入 (4)THzパルスの高強度化を進めた。 (1) TMDCバルクの単結晶から数mm~1cmサイズの大きさの単層を機械剥離する方法を開発し様々な基板上に転写することに成功した。さらにその方法を応用して積層ヘテロ構造やツイスト2層構造によるモアレ超格子を作製することに成功した。 (2) 昨年導入した低温STMを用いてTHz-STM測定を安定動作させることが可能となり、(1)の方法でSrTiO3基板上に転写した単層MoS2中の励起子ダイナミクス、緩和過程をナノスケールの空間分解能で計測することに成功した。10ps程度の早い減衰と、数100ps~1000psの遅い減衰の2成分を特徴とした緩和過程が観測され、さらに単層/複層境界、単層/SrTiO3基板境界とその周辺で場所に強く依存して緩和時間が変化する様子が観測された。 (3) STMに用いている除振台を従来のパッシブ型空気ばね除振台からアクティブ除振台に変えることでSTMやレーザースポット位置揺らぎに伴うノイズを1/10以下に低減することに成功し装置性能が大幅に向上した。 (4) THzパルス発生光学系を最適化することで、改良前と比較しTHz強度を7倍高強度化することに成功した。10 MHzを超える高繰り返し周波数での計測が容易になり、より高い精度での計測が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な目的とするTMDC原子層の時空間ダイナミクスの計測を行い、他の測定手法では得ることが難しかったナノスケール分解能での励起子ダイナミクス実空間計測にはじめて成功した。 また、当初予定していた波長可変パルス光源(OPO)と組み合わせた計測を行うためには、50MHzの高繰り返し周波数で実験を行う必要があったが、そのために必要不可欠だったTHzパルスの高強度化に成功した。 さらに、当初の予定にはなかった想定以上の成果として、高品質かつ大面積のTMDC試料を作製できるようになったことが挙げられる。単層のみならず積層ヘテロ構造やモアレ超格子を大面積で作成可能になり、試料選択の自由度が飛躍的に向上した。 以上をもって、本研究はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に改良したシステムと、確立した試料作製技術を基盤として下記の項目を推進する。 (1) 時間分解IV計測による測定メカニズムの解明 単層TMDCの励起子ダイナミクスをTHz電流によってプローブすることには成功したが、どのようにして生成した励起子がTHz電流に変化を及ぼすかは明らかではない。その測定メカニズムの解明のため時間分解IV計測を行う。この手法ではTHz-CEPシフタを用いてTHzパルスの極性と強度を連続的に変化させながらTHz電流を計測し、瞬時の電子状態に対応したIV曲線を得ることができる。励起子生成前後、および緩和途中のIV曲線の変化を時間分解測定を行い比較、解析することで解明を試みる。 (2) 時間分解THz-STMによる励起子ダイナミクスの実空間イメージングと励起波長依存性の解析 WSe2、MoSe2単層及びWSe2/MoSe2積層ヘテロ構造、積層モアレ超格子を試料として、可視~赤外ポンプパルス光で生成された励起子のダイナミクスの計測を行う。ポンプ光の波長を励起子共鳴エネルギー~バンド間遷移に対応するエネルギー間で変化させ励起子の空間分布がナノスケールでどのように変化するかを計測する。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Tracking the light-driven layer stacking of graphene oxide2021
Author(s)
Masaki Hada, Satoshi Ohmura, Yuki Yamamoto, Yoshiya Kishibe, Wataru Yajima, Ryo Shikata, Keishi Akada, Shoji Yoshida, Jun-ichi Fujita, Shin-ya Koshihara, Yuta Nishina
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Journal Title
Carbon
Volume: 183
Pages: 612-619
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] A Versatile Post-Doping Towards Two-Dimensional Semiconductors2021
Author(s)
Yuya Murai, Shaochun Zhang, Takato Hotta, Zheng Liu, Takahiko Endo, Hiroshi Shimizu, Yasumitsu Miyata, Toshifumi Irisawa, Yanlin Gao, Mina Maruyama, Susumu Okada, Hiroyuki Mogi, Tomohiro Sato, Shoji Yoshida, Hidemi Shigekawa, Takashi Taniguchi, Kenji Watanabe, Canton-Vitoria Ruben, Ryo Kitaura
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Journal Title
ACS Nano
Volume: 15
Pages: 19225-19232
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Ultrafast Time-Resolved Electron Diffraction Capturing Layer Stacking Dynamics of Graphene Oxide2021
Author(s)
Yuki Yamamoto, Satoshi Ohmura, Yoshiya Kishibe, Wataru Yajima, Ryo Shikata, Keishi Akada, Shoji Yoshida, Jun-ichi Fujita, Shin-ya Koshihara, Yuta Nishina, Masaki Hada
Organizer
OLC 2021
Int'l Joint Research
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