2022 Fiscal Year Annual Research Report
高次機能ナノチューブファイバレーザー光源の開発と先端光計測技術への展開
Project/Area Number |
20H00350
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西澤 典彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30273288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 将太朗 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80850544)
榊原 陽一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 総括研究主幹 (40357091)
周 英 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (80738071)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高機能レーザー / 超短パルス / 応用光学・量子光工学 / ファイバレーザー / 光周波数コム |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 全偏波保持デュアルコム光源の開発 まず,機構共有方式を用いて,単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用いた全偏波保持型正常分散領域デュアルコムファイバレーザーの開発を初めて実現した.雑音特性や安定も良好で,波長1.56um帯でのデュアルコム分光計測に成功し,その安定性を実証した.次に,全偏波保持型のFigure-9ファイバレーザーによる安定化光周波数コムを2台開発し,それを組み合わせることで,デュアルコムシステムを開発した.更に,安定なcw-LDを用いて二つのコムの位相同期技術の構築を進めた. 2.Tm-Ho超短パルスファイバレーザーを用いた中赤外光源の開発 これまでに開発してきたSWNTによる全ファイバ型Tm-Ho共添加超短パルスファイバレーザーの高度化を進めた.更にその出力をTm添加ファイバで増幅し,分散補償後,ZEBLANファイバに導入して波長2.8um帯までの長波長化を進めた. 3.SWNTフィルムの2波長ポンププローブ測定 2波長同期型超短パルスファイバレーザーの開発を目指し,ファイバ非線形効果を用いて開発した2波長超短パルス光源を用いてSWNTフィルムのポンプ・プローブ計測を行った.実験によって,可飽和吸収が起きる2波長において,波長間の相互作用が誘起されることを確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は正常分散領域における全偏波保持デュアルコムファイバレーザーの開発に初めて成功した.機構共有型の構成を用いることで,散逸性ソリトンモード同期での初の全偏波保持ファイバ型デュアルコムファイバレーザーの開発になる.更に,出力を増幅し,スペクトルを拡げることで,デュアルコム分光を安定に行うことができることを実証し,光源の安定性を示した.また,2台の偏波保持ファイバレーザーコムを用いるデュアルコムシステムの開発を計画的に進めた.PIDによる制御によって,一台の安定なcw-LDにコムを同期させることに成功した.更に,2波長同期型超短パルスファイバレーザーの開発に向けて,2波長のポンププローブによる単層カーボンナノチューブフィルムの特性評価を初めて行った.独自に開発した1um+2um帯の超短パルス光源を用いて,波長の異なるパルスによって誘起される時間応答を始めて評価し,今後の2波長同期動作の実現性を確認することができ,また新しい知見を得ることができた.このように,研究計画に沿って研究が順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の予定通り研究を進めていく.デュアルコムについては,簡易な構成でデュアルコムを実現できるデュアルコムファイバレーザーの高度化を更に進め,より広帯域な波長帯におけるデュルコム分光等の実現を目指していく.また,2台の偏波保持ファイバレーザーコムを用いた高精度デュアルコムについても高度化を進め,cw-LDを介した安定化を実現し,高分解能なデュアルコム分光等の応用計測技術の実現を目指して研究を進める.また,昨年度行ったポンプ・プローブ実験の結果を基に,2波長同期型ファイバレーザーの実現を目指し,実験的に研究を進める.同期型ファイバレーザーを実現した後には,開発したレーザーの非線形顕微鏡のへの応用を進めて行く予定である.
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