2020 Fiscal Year Annual Research Report
Growth of a thick GaN crystal with extremely low resistivity by the OVPE method
Project/Area Number |
20H00352
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 勇介 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 朗 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20314031)
上殿 明良 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20213374)
津坂 佳幸 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 准教授 (20270473)
河村 貴宏 三重大学, 工学研究科, 助教 (80581511)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | GaN / OVPE / 低抵抗 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸化ガリウムを原料とするOVPE法では酸素を高濃度でドーピング可能であるため、極めて抵抗の低いGaN結晶を得ることが可能である。一方、酸化ガリウムを起点とした多結晶が発生することが問題であったが、近年の研究で高温成長において多結晶を抑制可能であることを最近新たに見出した。令和二年度は、高温成長用結晶成長炉を新たに設計とその立ち上げを行った。GaN結晶成長にも取り組んだところ、従来の成長炉を同等の品質の作製を得ることができ、新規構造においても問題なく結晶成長可能であることが分かった。今後は多結晶抑制に向け、1250℃以上の高温での育成試験を実施する予定である。 更なる低転位化に向け、より転位収束を促進可能な条件の探索も行った。結果、メタン添加系がピット成長及び低転位かを促進可能であり、転位密度も10^4/cm^-2台程度まで低減できることが明らかになった。TEMを用いてピット中心に存在する転位の成分同定も行った。 格子定数についても放射光X線により詳細に評価した結果、従来の成長温度においてはピット近傍において格子定数が拡張していることが明らかになった。今後高温成長で得られた結晶の格子定数も分析し、格子定数の拡大を抑制できているか検証していく予定である。第一原理計算により、水素添加系において着色が低減可能であることを支持するような電子状態密度図を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)高温成長用OVPE成長装置開発:令和2年度は当初の計画通り、石英管内部にホットウォール形成用の加熱ヒーターを搭載した新規炉の開発を行った。当初従来炉に比べて温度シフトが見られ、多結晶が多かったが、温度調整を行うことで従来炉と同程度の多結晶量及び品質の結晶を得ることに成功した。 2) 低転位化メカニズムの解明:令和2年度はより低転位化を促進可能な条件探索を行った。従来の過飽和比制御ではピットサイズを制御することが難しく、転位の収束を促進することが困難であったが、メタン添加によりピットのサイズを飛躍的に拡張可能であることを新たに発見し、転位の収束を促進することに成功した。ピット密度が10^4 cm^-2台程度であることから、転位密度も同程度まで減少していると期待できる。TEMを用いてピット中心に存在する転位の成分同定も行ったところ、明瞭なバンドルは見られなかった。一方、らせん状に伝播する転位が存在しており、今後電流リークとの関係を調査していく予定である。多光子ルミネッセンスを用いて、転位の挙動を調査した結果、ピットが会合する過程で転位も湾曲し、収束していく像を得ることができた。陽電子対消滅法により、OVPE法で作製したGaN結晶中にはGa空孔とN空孔が結びついたダイベイカンシーが存在することが分かった。 3) 高酸素不純物濃度状態における格子定数制御及びメカニズム解明:放射光X線を用いた逆光子マッピングにより、転位が収束したピット中心においてc軸方向の格子定数が増大していることが分かった。当該現象のメカニズムは現状不明であるが、点欠陥と合わせてメカニズムを議論していく予定である。第一原理計算に基づく状態密度計算の結果、ガリウム欠陥に3原子以上の水素が加わることで、電子状態図に対する影響が無くなることが分かり、水素含有のOVPE法による着色原因と関係することが明らかになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1) 高温成長用OVPE成長装置開発:令和2年度に立ち上げた高温成長用OVPE炉を活用し、200um/h程度の高速成長を実現することに加え、従来炉に比べて多結晶を抑制し厚膜成長に取り組む。 2) 低転位化メカニズムの解明:メタン添加技術をより発展させ、従来の無添加系より低転位密度のGaN結晶が得られることを実証することに加え、メタン添加によりピットが増大するメカニズムについて調査を行う。OVPE法で作製したGaN結晶中にダイベイカンシーが存在することが明らかになったため、今後は転位との相関についても調査していく。今後はエピタキシャル成長層においてOVPE法における転位がどのように伝播するかについても調査していくとともに、電流リークとの関係を調査していく。 3) 高酸素不純物濃度状態における格子定数制御及びメカニズム解明:転位が収束したピット中心においてc軸方向の格子定数が増大している原因について、今後不純物や点欠陥と合わせてメカニズムを議論していく。第一原理計算についても、今後はより結晶が透明化する高温成長においても、計算上点欠陥がどのように変化するかについても調査していく。 4) デバイス作製の基礎検討として、OVPE結晶上にエピタキシャル成長させたGaN結晶における転位の成分とリークの関係を調査していく。
|