2020 Fiscal Year Annual Research Report
高温CVD法による高速SiCバルク結晶成長における転位低減機構解明と限界探求
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20H00356
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
土田 秀一 一般財団法人電力中央研究所, 材料科学研究所, 領域リーダー 副研究参事 (60371639)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭化珪素 / 結晶成長 / 転位 / 熱応力 / X線トポグラフィ / 転位動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) SiCバルク結晶成長 高温CVD法(ガス法)によって、直径75 mmの種結晶に対して、種結晶温度2500-2550℃での4H-SiC単結晶成長実験を行った。種結晶のオフ角度は4度、オフ方位は<11-20>とした。炉内のガス流パターンを制御することで成長速度の径方向分布を均一化し、約6 mmの均一な厚さを有する4H-SiC単結晶を成長速度2 mm/hで高速成長させることを実現した。これにより得られた単結晶をスライス、研磨することで、転位評価用の複数枚のウエハを取得した。 (2) 転位評価 成長速度3 mm/hで得た直径50 mmの4H-SiC単結晶に対して、放射光X線トポグラフィによる転位評価を行った。異なる成長厚さに対して反射X線トポグラフィ像を取得し、転位密度の面内分布の厚さ方向変化を解析したところ、TSD/TMD、TEDともに転位密度が高い領域ほど結晶成長に伴う転位低減量が大きいことを明らかにした。また、成長方向に沿った断面カットサンプルに対する放射光X線トポグラフィにより、逆向きのc方向バーガースベクトル成分を有するTSD/TMDが結晶成長途中で合体して消滅していることを確かめた。 (3) 応力解析と転位動力学シミュレーション 転位間相互作用力と熱応力が重畳する場合について、二つのTEDのバーガースベクトルと相対位置に対応する引力・斥力を解析した。これに基づき、多数のTEDを想定し、転位間相互作用力と熱応力によって時間的にTEDが移動することを仮定した二次元転位動力学シミュレーションを実施し、結晶中央部と端部において合体や排出に伴って、転位密度が減少することを示すシミュレーション結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ガス法による高速SiCバルク結晶成長、転位評価、応力解析と転位動力学シミュレーションのそれぞれの項目について、それぞれ当初計画に沿った実施結果が得られており、おおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
種結晶のオフ方位とオフ角度および結晶成長速度をパラメータとして、結晶成長実験ならびに転位評価と転位動力学シミュレーションを行い、それぞれの場合における転位密度の低減度合いの実験値とシミュレーション結果を照合することで、高温CVD法による高速SiCバルク結晶成長における転位低減メカニズムの解明と転位低減の限界見極めを進める。
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