2021 Fiscal Year Annual Research Report
Creation and characterization of electronic structures of organic-modified metal superatoms with well-defined geometric structures
Project/Area Number |
20H00370
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佃 達哉 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90262104)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 金属クラスター / 超原子 / 超原子分子 / 電子構造 / 幾何構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機分子で表面修飾された金属超原子は、新たなナノスケールの機能単位として期待されている。本研究では、高収率・大量合成法、および孤立状態での構造・安定性・物性の評価方法の開発を通して、表面修飾超原子の基礎学理の構築と応用研究への展開を目指す。本年度は下記の成果を得た。 1)化学組成と混合状態が規定された合金超原子M@Au12(M = Ru, Rh, Ir)およびM@Au6Ag6 (M = Pd, Pt)の精密合成に成功した。また、電子構造や光学性能に対するドーピング効果を明らかにした。 2)隣接する有機配位子間の相互作用を利用して、Au3の対構造を持つ新規Au6超原子の合成やAu13超原子のフォトルミネッセンスの高効率化に成功した。また、保護配位子の特質を生かした超原子の幾何構造の制御、および発光効率・円二色性・電気化学触媒性能の向上を実現した。配位子の置換基の極性の違いを反映して超原子の電子親和力が変化することを気相光電子分光法によって明らかにした。 3)高分子で保護した新規魔法数クラスターAu24の合成に成功した。高分解能電子顕微鏡観察と理論計算によって、幾何構造の多様性と柔軟性を明らかにするとともに、空気酸化触媒機構を明らかにした。 4)ヒドリドの吸着を契機として超原子の融合を誘起することで、超原子を基本単位とする擬似的な分子(超原子分子)の標的合成に成功した。単結晶X線構造解析の結果をもとに電子構造を理論的に解析し、超原子の結合様式を提案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオントラップの導入によるイオン強度の飛躍的な向上によって、光電子スペクトルの測定対象が格段に広がったので、電子構造を評価するツールとして積極的に活用できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、修飾超原子の化学合成と評価に関して下記の研究を進める。 1)正二十面体構造の金(銀)13核クラスターに対して、異種元素を一原子だけ位置選択的にドープした合金超原子のライブラリーを構築する。これらの発光特性を系統的に調べ、ドーピングが電子構造や発光特性に及ぼす効果を明らかにする。 2)超原子の融合反応を利用して、異核超原子分子の合成および構造評価に挑戦する。 3)高分子で保護された金超原子の魔法数サイズや安定組成の探索を行い、構造や触媒性能を評価する。 4)改良した光電子分光器を用いて、すでに報告した光電子スペクトルの改善及び再検証を行う。多価の負イオン状態の修飾銀超原子を対象として、気相光電子分光によって斥力クーロンポテンシャルによる特異的な電子束縛機構や脱離過程を調査する。
|
Research Products
(24 results)