2020 Fiscal Year Annual Research Report
Catalytic Reactions Enabled by Metallopincer Ligands
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20H00376
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中尾 佳亮 京都大学, 工学研究科, 教授 (60346088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタロピンサー配位子 / 触媒反応 / 不活性結合活性化 / C-H活性化 / 不活性小分子活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機合成指向有機金属化学分野の研究は,現在,大半が既知の素反応(触媒反応を構成する単段階の反応)を組み合わせる発想に基づき,既知の (多くの場合,市販の)金属触媒を網羅的に探索する研究に止まっている。本研究では,金属元素を配位元素として有し,M-M結合を錯体中に生 じさせるメタロピンサー配位子を用いて様々なマルチメタル錯体を開発する。従来の単一遷移金属触媒に比べて格段に電子豊富な遷移金属中心の電子を利用する,あるいは,M-M結合の結合電子を利用する異なる二種類の低反応性シグマ結合活性化法によって,従来の単一金属触媒では容易ではなかった不活性結合(C-H,C-C,C-F,C-O,Si-O)の官能基化やCO2官能基化反応を開発する。2020年度に得られた研究実績の概要は,以下の通りである。
1. メタロピンサー錯体の系統的創出に関して,配位子骨格をいくつか新規に合成し,これを用いたAl含有ピンサー配位子の創出に成功した。 2. C-H活性化・官能基化に関して,Rh-Al触媒を用いるピリジンの2位選択的シリル化反応の開発に成功した。 3. 極性σ結合活性化・官能基化に関して,Rh-Al触媒を用いるAr-F結合のマグネシウム化の成果を纏め論文発表した。さらにalkyl-F結合やAr-O結合でも同様の反応が進行することを見出した。 4. CO2活性化・官能基化に関して,Al-Rh錯体によるCO2活性化によって生じるアシルロジウム錯体の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サブテーマとして設定した「メタロピンサー錯体の系統的創出」,「C-H活性化・官能基化」,「極性σ結合活性化・官能基化」, 「CO2活性化・官能基化」の項目に関して,上記の研究実績の概要に示したように,それぞれに期待通りの進展が見られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
各サブテーマについて,下記のような研究内容について取り組み,研究を推進する予定である。 1. メタロピンサー錯体の系統的創出:引き続き典型および遷移金属を配位点として有する種々のメタロピンサー配位子を合成する。特に,Alに加えてBやGaなどの13族元素含有ピンサー配位子の合成に取り組む。 2. C-H活性化・官能基化:引き続き,ルイス塩基点を有する基質の反応 ,特にC(sp3)-H官能基化を検討する。量論反応を精査しながら,触媒反応への展開を試みる。 3. 極性σ結合活性化・官能基化:芳香族基質で成果が得られているC-F結合およびC-O結合官能基化について ,脂肪族基質の反応を検討する。 4. CO2活性化・官能基化:Al-Rh錯体によるCO2活性化によって生じたロジウムカルボニル錯体の反応性を量論反応において精査しながら,触媒反応への展開を試みる。
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Research Products
(8 results)