2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H00385
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 治 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (80270693)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質開発の立場から持続可能な社会の実現に貢献するためには、斬新な視点に立脚した物質設計に基づき、これまで実現されていない新機能を有する新材料や、現行の物質の機能を凌駕する新材料を生み出し社会に応用する必要がある。本研究では、物質における最も重要な機能の一つであり、広く社会で利用されている分極機能に着目し、分極変化の源が電子移動・光誘起電子移動である新しいタイプの電子移動型分極制御物質を我々の最近の成果を基盤に開発することを目指している。本年度検討した物質は、キラルな配位子、酸化還元活性配位子、および中心金属によって構成される原子価互変異性錯体(単核錯体及び複核錯体)である。特にこれまでコバルト錯体を中心に物質開発を行ってきたが、本研究では鉄等のコバルト以外の遷移金属錯体を中心金属にした新しい原子価互変異性錯体の開発を試みた。原子価異性挙動は、磁気測定、単結晶構造解析、赤外線吸収スペクトル、および紫外可視吸収スペクトルによって検討した。また、光誘起電子移動をメカニズムとする光応答性分極制御物質の開発とその電気的評価を目指して、光照射前後で焦電流測定が行える新たな測定システムの構築を行った。具体的には、透明電極および光ファイバーを導入したプローブを作製し光照射前後で温度を変えながら電流をモニターできるシステムを開発した。温度制御には磁気特性測定システムMPMS-5Sを利用した。予備的な測定ではあるが、光照射前後の電流を測定することに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子移動により分極がスイッチする物質の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
光照射前後、光照射中の分極特性を測定できる分析システムを利用し、本研究で開発する物質の光誘起分極効果に伴う光電流特性を評価する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Macroscopic Polarization Change via Electron Transfer in a Valence Tautomeric Cobalt Complex2020
Author(s)
Shu-Qi Wu, Meijiao Liu, Kaige Gao, Shinji Kanegawa, Yusuke Horie, Genki Aoyama, Hajime Okajima, Akira Sakamoto, Michael L. Baker, Myron S. Huzan, Peter Bencok, Tsukasa Abe, Yoshihito Shiota, Kazunari Yoshizawa, Wenhuang Xu, Hui-Zhong Kou, Osamu Sato
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Journal Title
Nat. Commun.
Volume: 11
Pages: 1992
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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