2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H00390
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GHALEI BEHNAM 京都大学, 高等研究院, 特定准教授 (30725411)
山口 大輔 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (60370483)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多孔体 / マイクロ流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の欠陥の研究は、いかにしてその発生と成長を防ぐかを主題に研究が展開されてきた。ところが完全に欠陥を排除することは困難であり、我々はそれを逆手にとった欠陥の積極的利用を軸にした材料創成を構想した。本課題では、我々が発見した光干渉をテンプレートとした架橋構造をクラック型に破壊して多孔化する現象(Organized Micro-fibrilization:OM)の発展を目指す。OMプロセスを用いて設計されたクラックの適用範囲の拡大と、機能材料化を目指すべく研究を進めている。 中間年となる今年度は、クラック型多孔構造のさらなる精密化とそれを利用したマイクロ流路デバイス開発に成功して、目的を達成しつつある。特に世界最小最薄となる流体デバイスを達成して、タンパク質を分離したことは、本手法の機能化への高いポテンシャルを示した。また従来の1-4cm2のフィルムサイズから、1200cm2へのスケールアップに成功している。 具体的には、1 架橋導入のためのUV照射量コントロールの実行にマイクロビームを使用して、OMプロセスによるクラック型空孔サイズ可変手法の最小x-y描画エリアをミリメートルスケールからマイクロスケールに精密化した。2 空孔サイズ可変手法を、マイクロ流路に展開して高さの異なるマイクロ流路を連結させた。そこに、SARS-CoV-2ヌクレオカプシドプロテインとインスリンの混合水溶液を流して、分離することに成功した。3 塗布、露光、現像というOMプロセスのすべての工程で、装置の大型化と反応の制御手法を確立して、300倍のスケールアップに成功した。 今後はクラック状多孔構造の母体となるポリマーの多様化に挑戦していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はOMプロセスを用いたクラック状多孔構造の制御として、前年度に達成したマイクロチャネルの空孔サイズを可変にできる手法をさらに精密化することに成功した。同時に露光と現像の質を保持したまま、クラック状多孔体の生成エリアのスケールアップにも成功した。機能材料化として、空孔サイズ可変の精密化を利用し、高さの異なるマイクロ流路を連結させて、大きさの異なる生体分子を分離することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
架橋可能なガラス状高分子ならば、OMプロセスを用いたクラック状多孔構造の母体として使用できることが明らかになっている。従来はホモポリマーのみを使用していたので、最終年度は、ポリマーブレンドや無機微粒子を添加したポリマーを母体にした多孔構造に取り組む。
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