2020 Fiscal Year Annual Research Report
日本産サケ稚魚の回遊中のエネルギーバランスと環境選択の解明および温暖化適応予測
Project/Area Number |
20H00428
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 貴士 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50431804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70463908)
峰岸 有紀 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80793588)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サケ稚魚 / 回遊 / 耳石 / 環境DNA / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
岩手県のサケ4歳魚回帰率を0.8~1.5%期,0.3~0.8%期,0.3%未満期に大別し,これら3期および直近年について,その代表年級の稚魚が降海した2005,2008,2016,2018年における沿岸の暖流勢力と餌生物の分布密度との関係について検討した。その結果,沿岸では期毎に暖流勢力が倍増しており,動物プランクトンの分布密度は2008,2016,2018年では2005年に比べ低い傾向にあった。2000年以降の三陸沿岸域では,稚魚のエネルギー要求量に対する餌不足が低成長を引き起こし,回帰率低迷につながったものと推察された。
安定同位体を用いた代謝履歴推定に関して,分析のための試料量の確保が耳石より容易である脊椎骨を利用した手法の検討を行った。その結果,耳石と比較して前処理の影響が大きいものの,単純に乾燥させた場合が最も影響が少なく,かつ耳石と同等のデータが得られることが明らかとなった。
環境DNA分析について,大槌湾において,毎月1回,大槌湾をカバーする計7測点において定点採水を行った。また,2018年および2019年に同様に採集した環境DNAサンプルを用いてサケ稚魚およびその餌生物である動物プランクトン3種の動態を明かにした。この成果については,投稿論文として取りまとめている最中である。さらに,2019年3月および5月に大槌湾から外側のライン観測中(39.36N,142.0-142.37E)に採水した環境DNAサンプルを分析したところ,大槌湾湾口のごく限られた範囲でのみサケDNAが検出された。このことから,サケ稚魚が沿岸伝いに北上する可能性のあることが明かとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響で野外調査などが延期にはなったが,その後,調査を遂行することができた。順調に成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で野外調査など予定は不透明なところもあるため,現場と随時連絡をとりながら,状況把握に努め,調査が効率的に行えるよう準備を進めていく。所属機関で処理できる作業も随時に進めていく予定である
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[Journal Article] Tracking long-distance migration of marine fishes using compound-specific stable isotope analysis of amino acids2020
Author(s)
Jun Matsubayashi, Yutaka Osada, Kazuaki Tadokoro, Yoshiyuki Abe, Atsushi Yamaguchi, Kotaro Shirai, Kentaro Honda, Chisato Yoshikawa, Nanako O Ogawa, Naohiko Ohkouchi, Naoto F Ishikawa, Toshi Nagata, Hiroomi Miyamoto, Shigeto Nishino, Ichiro Tayasu
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Journal Title
Ecology Letters
Volume: 23
Pages: 881-890
DOI
Peer Reviewed
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