2022 Fiscal Year Annual Research Report
日本産サケ稚魚の回遊中のエネルギーバランスと環境選択の解明および温暖化適応予測
Project/Area Number |
20H00428
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北川 貴士 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50431804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70463908)
峰岸 有紀 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80793588)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サケ稚魚 / 回遊 / 環境DNA / 代謝 / 数理モデル / 餌環境 / 耳石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本種稚魚の代謝計測を行って移動コストを算出し,体サイズと水温が稚魚の遊泳生理特性に及ぼす影響を検討した。北上開始直後(≧体重4 g)の稚魚の臨界遊泳速度は,沿岸域を南下する津軽暖流の流速を超えていたが,体重10 gに達すると水温8℃,遊泳速度0.30 m/sでの移動コストは17%減少した。一方,水温14℃を超えると移動コストは増大し,体重増加によるコスト削減効果を相殺していたことから,実際の分布水温範囲(5~13℃)であれば長距離遊泳能力の発達と成長に伴う移動コストの減少が,北上回遊を可能にすると推察された。
数理モデルから稚魚の体成長,遊泳,貯蓄への各エネルギー配分量を定量した。水温8℃・飽食量(体重4.0%量)下では,体重16 gまでは摂取エネルギーの最大71%が体成長に配分され,それ以降,貯蓄にも配分された。16 g以下でも,長距離遊泳が十分可能であることも示されたが。20℃・低餌量(体重1.0%量)下では,成長・貯蓄への配分量は80~90%減少し,2か月で約70%が死亡した。回遊中,生存可能な水温範囲内であれば,摂餌量の多寡,ひいては良質な餌環境に遭遇することが重要であることが示唆された。
サケ稚魚の北上回遊経路を推定するため,2022年5月に三陸沖において学術研究船・新青丸航海(KS-22-7)を実施し,沿岸から90海里沖までの範囲で表層から水深100 mまでの層別採水により得られた試料を環境DNA分析に供した。全てのサンプルからDNAを検出することができず,回遊経路の推定には至らなかったが,岩手県では2021年秋~冬の回帰親魚が極端に少なく,それに伴い降海する稚魚も著しく少なかったためと考えられた。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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