2020 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of radioactive materials movement and deposition from forests to living areas and multi-angle evaluation of their effects
Project/Area Number |
20H00435
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大手 信人 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10233199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 正也 福島大学, 食農学類, 准教授 (00792392)
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
村上 正志 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (50312400)
石井 伸昌 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高度被ばく医療センター 福島再生支援研究部, 主幹研究員(定常) (50392212)
二瓶 直登 福島大学, 食農学類, 准教授 (50504065)
小林 奈通子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60708345)
小田 智基 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70724855)
和田 敏裕 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (90505562)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 森林生態系 / 放射性セシウム / 里地への移行 / 生物間の移行 / 住民の認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度、以下の研究項目を実施した。研究項目1[森林から生活圏に移行する放射性物質の経路と再沈着の実態把握](タスクA)福島県伊達市霊山町小国地区の上小国川集水域(以下、小国地区)と同県双葉郡浪江町高瀬川集水域(以下、高瀬地区)を定点調査地として設定し、連続水位観測機器、濁度計、自動採水器等を設置し、森林から里地への放射性セシウムの河川を通した移動と再沈着に関する調査を開始した。これらに加えて、双葉郡浪江町・請戸川、同大熊町・熊川を調査対象河川とし、年に2回程度実施する環境試料、生物試料の採取を実施した。この試料採取調査では、上記4河川において、上流森林域、中流里地域、下流里地域の3地点で試料採取を行った。 高瀬川、小国川では河川水位、濁度等の連続観測が実施され、水位状況に連動した自動採水器による採水も試験的に実施され、観測態勢が整ったことが確認できた。 (タスクB)タスクAの4河川の各観測点で、水域(河川・貯水池)では、一次生産物、消費者、捕食者、陸域では(河岸・農地):植物、菌類、食植者、落葉、腐食食者、捕食者などの試料を、機能群ごとにバイオマスが推定できる方法で採取した。採取した生物試料のソーティング、分析の前処理等を実施し、放射性Csの濃度の測定を実施した。 研究項目2[住民の放射性物質の移行源としての森林についての認識に関する調査】については、住民の、森林の状況、存在意義や価値についての認識と、それに基づく生活上、生業上なされる判断の仕方などを明らかにするためにアンケート調査やインタビューを行うが、対象調査地の検討をおこない、伊達郡川俣町を選定したが、コロナ禍の状況で、感染防止対策が求められていたため、実際のアンケート調査は、2021年度に順延することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目1のタスクAでは、河川の連続観測点として、地域の放射能レベルを考慮し、大熊町・熊川の代わりに、浪江町・高瀬川を選定して観測を開始した。加えて、生物群集の食物網構造を介した放射性物質の移動・拡散を把握するための試料採取を、上記2河川に双葉郡浪江町・請戸川、同大熊町・熊川を加えた4河川において実施した。これら河川ごと観測と試料採取・調査の実施は概ね計画通りで、各河川流域について放射性セシウムの残存レベルや生物群集の食物網内での移行の外観を把握するために十分な試料が確保できている。現在、試料の整理と分析が進められ、部分的に結果が出てきている。例えば河川周辺で飛翔性の昆虫に対して捕食者となるジョロウグモの放射性セシウム濃度の空間的分布が明らかになりつつあり、河川から陸域への移行の経路が示されつつある。 計画では、研究項目2として、[住民の放射性物質の移行源としての森林についての認識に関する調査】を計画し、タスクCとして、被災地住民について、事故以前、事故から現在まで、将来(例えば今後50年)の時点での森林の利用状況などについての認識、生活・生業における利用方法を調査することになっていたが、コロナ禍の影響で、対面でのミーティングが困難であったため、タスクCは2021年度に順延することし、これに関わる経費を繰り越すこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
定点観測点を設定した、2河川(伊達市小国・上小国川、双葉郡浪江町・高瀬川)については、水位・濁度の連続観測と、高水時の河川水サンプリングを継続する。この2河川と、浪江町・請戸川、大熊町・熊川においては、生物群集と環境試料(水・土壌)のサンプリング・キャンペーンを次年度以降も年1,2回の頻度で実施する。これらの観測は2023年度までは継続する予定で、網羅的なデータベースの確立と公表を目指す。 研究項目2については、ある程度の対面会合が可能な状況で、感染対策を十分にした上で、アンケート、インタビューなどを軸に社会調査を進める。2021年度には中通りの伊達郡川俣町の住民を対象に「森林利用」に関する認識調査を実施する予定である。
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Research Products
(4 results)