2021 Fiscal Year Annual Research Report
老朽開水路内に配管される圧力パイプラインの力学挙動の解明と耐震設計手法の確立
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20H00441
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
河端 俊典 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20335425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 一哉 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (00362765)
澤田 豊 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (60631629)
毛利 栄征 茨城大学, 農学部, 特任教授 (90373224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パイプライン / 開水路 / 屈曲部 / 模型実験 / 応力集中 |
Outline of Annual Research Achievements |
既設開水路内に管路を敷設する開水路内配管工法の確立を目標に,老朽化した開水路内に設置された管路屈曲部を対象にスラスト力を模擬した水平力を負荷する実験を実施してきた.令和2年度に実施した模型実験では,載荷中に模型管が軸方向に回転し,正確に水平抵抗力が計測できていないことが明らかとなった.そこで,令和3年度には,載荷装置を改良し,同条件での実験を実施した.概ね前年度と同様の結論を得たが,水路底板と水路壁が固定された実験条件では,管と開水路模型が一体となり挙動する様子が観察され,前年度と異なる新たな知見を得た.また,管と水路壁の間の距離を変えた条件での実験ケースについて,より詳細な検討を行い,本研究で実施された埋設条件では,距離と抵抗力が概ね線形で近似できることを示すとともに,画像解析を通して,管および水路壁周辺地盤の変形挙動ならびに抵抗力発揮メカニズムを解明した.さらに,既設開水路内に2本の管路が敷設される二条配管時の力学挙動を解明するため,2本の模型管に定荷重を負荷した載荷実験に着手し,現在までに基本ケースの実験を終了した. 上記のスラスト力を受ける管路屈曲部の力学挙動の検討に加え,管底側部の応力集中の緩和を目的としたEPS基礎を提案し,その有効性についても実験的に検証してきた.令和2年度に実施した模型実験では,模型管の外径が165mmと小さく,一部のEPS基礎では,応力集中を抑制する効果が確認できなかった.そこで令和3年度には,模型管の外径を313mmとし,地盤の相対密度を前年度の30%から60%に変更することで,より実際に近い埋設条件を再現した.実験結果よりEPS基礎を用いた全てのケースで管底側部の応力集中を抑制する効果が確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,前年度の実験の再実施に時間を要したものの,装置や実験条件の改良により,妥当な結果が得られたことは大きな進展と言える.特に管底側部の応力集中の問題については,当初計画にはなかった新たな問題として取り組んでいることから,研究課題全体として得られた成果は当初の計画よりも大きいと言える. 二条埋設実験については,基本ケースの実施にとどまっているものの,今後の実施スケジュールの目途は立っている.また,令和3年度の当初計画で掲げた遠心力載荷模型実験については,実施できていないものの,令和4年度に計画している振動実験と合わせて,遠心力場での振動実験を行う計画で調整している. 以上より,総合的に考えて,本研究課題は概ね順調に進捗しているものと評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,既設開水路内に2本の管路が敷設される二条配管時の力学挙動を解明するため,小型土槽内で水平載荷実験を行う.2本の模型管にスラストを模擬した一定荷重を負荷し,両者の変位を測定する.実験は,埋設管の設置深さ,地盤密度,二条配管の離隔距離を変えた条件で行い,単独埋設時の挙動と比較することで,隣接する2本の管の相互作用を解明するとともに,画像解析を通して,周辺地盤の変形挙動についても明らかにする.また,当初令和3年度に計画されていた遠心力模型実験ならびに令和4年度に計画されていた振動実験を遂行するため,農研機構所有の遠心力模型実験装置を用いて,遠心力場での加振実験を実施する.開水路内に配管された外径1500mm程度の大口径管にスラスト力を負荷した状況を再現し,強振動を与え,大口径管の力学挙動ならびに開水路内地盤の液状化の発生程度などを検証・解明する. また,上記のスラスト力を受ける管路屈曲部の力学挙動の検討に加え,管底側部の応力集中の緩和を目的としたEPS基礎の効果についても,大口径管を対象とした検証が不可欠となるが,農研機構の遠心力模型実験装置を同実験に対しても占有することはできない.そこで,コロンビア大学の所有する遠心力模型実験装置を使用することとする.前年度までの実験と同様に,EPS基礎の有無により,管に生じる曲げひずみ分布を明らかにする. さらに,上記の実験に加え,開水路内配管工法の耐震性を向上させる目的で,浮上防止対策の提案と効果の検証を行う.開水路内配管工法では,既設開水路内に管路を敷設することから,比較的浅く埋設され,鉛直土圧が小さいことが想定され,浮上防止対策が必要となる.そこで,ジオシンセティックスなどを用いた新たな浮上防止対策を提案し,浮上を模擬した模型管の押上げ実験から提案対策工法の有効性を検証する.
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Research Products
(4 results)