2021 Fiscal Year Annual Research Report
Structural physiology of channels based on development of cryo-electron microscopy
Project/Area Number |
20H00451
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤吉 好則 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特別栄誉教授 (80142298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼本 修孝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (20378582)
亀川 亜希子 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (50867554)
谷村 幸宏 東京医科歯科大学, 高等研究院, プロジェクト助教 (80546515)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 構造生理学 / 膜タンパク質 / 水チャネル / クライオ電子顕微鏡法 / 単粒子解析法 |
Outline of Annual Research Achievements |
クライオ電子顕微鏡を用いて、ヒトの体の恒常性を保つ水を中心とする生理機能を関連する分子の立体構造から詳細に理解することを本研究の目的として研究を進めている。なお、計画当初において構造解析が必要であったV2RとGs複合体の構造解析が他の2グループにより行われてV2R-Gsの構造情報は得られたので、目的の機構を理解する上で重要なLRBAの構造解析を行う挑戦的な課題を加えて、以下の6課題の研究を進めた。 1) Cldn-18stの構造解析を目指して発現・精製を行い結晶化に成功したが、結晶性が不十分であることが分かったので、C末端側を除くなどの変異を導入することで結晶性を向上させた。 2) TJの立体構造を解析するために、固定・染色した試料を用いてTJのトモグラフィー解析を行ってTJの立体構造を得たが、我々のdouble-row modelを比較検討できる構造情報は得られなかった。それで、クライオ電子線トモグラフィーデータを取得し、トモグラム解析を行った。 3) ウェルシュ菌毒素のC末端側(C-CPE)とCldn-3との複合体の構造解析を基に、TJを制御することを目指して、ペプチドを化学合成するシステムの立ち上げを行った。 4) hAC6とGs複合体の構造解析を目指すが、より発現状況が良い、hAC9とGsとの複合体の構造解析をまだ低い分解能であるが行った。 5) AQP2の単粒子解析法による構造解析を行うために、AQP2の大量発現と精製に成功し、lipid nanodiscへの再構成に成功した。 6) PKAによる水チャネルAQP2のリン酸化の制御を担っているLRBAの構造解析という新しい課題を設定し、そのための発現系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、ヒトの体の恒常性を保つ水を中心とする生理機能を詳細に理解することを目指して、容易な研究課題ではないが、LRBAの構造解析も新たな研究課題に加えて、以下の6つの研究課題のすべてについて研究を進めて、おおむね計画通りの成果を得た。 1) Cldn-18stの発現と精製を行い結晶化を試みたが、結晶性が悪かったのでC末端側を除いたコンストラクトを作製し、発現精製に成功し、結晶化にも成功した。しかし、分解能が5Å程度と十分ではないのでさらなる改良が必要な状況にある。 2) TJのクライオ電子線トモグラフィー解析に成功して、我々が提案しているdouble-row modelと矛盾がなさそうな立体構造が得られた。 3) 化学合成ペプチドを用いてTJの制御を実現することを目指して、ペプチドを化学合成するシステムの立ち上げを行うことができた。 4) AC9の発現・精製を行い、クライオ電子顕微鏡によるデータ収集を行って、まだ分解能は低いが、AC9とGsとの複合体の構造解析に成功した。 5) AQP2の大量発現と精製を行って、lipid nanodiscへの再構成にも成功した。ただし、水チャネルはほとんどが膜貫通部分であり、可溶性部分が極めて少ないので、このような試料を単粒子解析法で解析するための方法の開発が必要なことが確認した。 6) AQP2の局在はリン酸化によって制御されているが、リン酸化の制御を担う重要な分子であるLRBAの構造解析のための発現系の構築を行った。 以上のように、所期の目的である、水チャネルを制御した恒常性維持機構を高分解能の構造解析に基づいて理解するという研究課題の達成を目指して研究を進めた。さらに挑戦的なLRBAの構造解析という研究課題を加えて総合的に研究を進めており、基本的に順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で明らかにしたい課題は、ヒトの体の恒常性を保つ水を中心とする生理機能を関連する分子の立体構造から詳細に理解することであるが、具体的には、本年度においても以下の6つの研究課題のそれぞれすべてについて研究を進める。 1) Cldn-18stの結晶化に成功し、コンストラクトも検討して分解能を向上させることができたが、まだ分解能が不十分なので、より高い分解能の結晶化を行うために、結晶化条件などの検討を行う。 2) TJのクライオトモグラフィーデータの取得に成功し解析も行い、我々が提案しているdouble-row modelと矛盾がなさそうな立体構造が得られたが、確実な結果を得るために、より多くのTJのトモグラフィー解析を進める。 3) TJの制御のために、ペプチドを化学合成するシステムを立ち上げたので、これを用いて合成ペプチドとクローディンとの相互作用解析をさらに進める。 4) AC9の発現・精製を行いGsとの複合体の構造解析を行ったが、分解能が低いので、さらに高い分解能での解析を目指す。 5) AQP2の構造解析を目指して発現系を構築し、AQP2をlipid nanodiscに再構成する条件を確立してクライオ電子顕微鏡による解析を目指したが、ほとんど膜貫通部分からなるAQP2分子の解析は困難なので、可溶性部分を増やす方法を検討する。 6) PKAがAQP2のリン酸化を行うことで、この水チャネルの細胞内局在が制御されるが、この制御のカギとなるLRBAの構造解析を目指して、全長のみならずそれぞれに分割できる部分の発現を試みる。 以上のように、水チャネル制御による恒常性維持機構を高分解能の構造に基づいて理解するという研究課題の達成を目指して、昨年度に続いてすべての研究課題を進める。
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Research Products
(7 results)