2022 Fiscal Year Annual Research Report
Biophysics of higher-order molecular genome structure
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20H00460
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 雄一 京都大学, 高等研究院, 教授 (90556276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 雅恵 京都大学, 高等研究院, 特定講師 (10581738)
金 水縁 国立研究開発法人理化学研究所, 高等研究院, 特定講師 (50758886)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゲノム / ヌクレオソーム / 次世代シーケンス / 分子動力学計算 / 物理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に引き続き、現在出芽酵母ゲノムに限定されているHi-CO法の測定対象を、ヒトゲノムに拡張するための技術の開発を主に進めた。 Hi-CO法では、ゲノム内の近接した領域を、DNAアダプターを介して連結させて、それを次世代シーケンサーで解析することで、3次元構造に関する情報を取得する。従来のHi-CO法では、アダプター内に25塩基対離れたゲノム領域を切り出す制限酵素(EcoP15I)の認識部位を挿入し、ゲノムの連結後に切り出しを行うことで、一定サイズのDNA連結産物が得られるようにしていたが、このプロセスを挟むことで多くのDNA産物が失われてしまっていた。そこで私たちは、切り出しを行わずに、連結が行われた2つのヌクレオソームのゲノムDNA(約200塩基対×2)の全長を解析できるようにアダプターの変更を行った。その結果、連結DNA産物の収量を従来の数倍程度増やすことに成功した。 開発した方法を用いて、ヒト肺がん細胞A549のヌクレオソーム分解能のゲノム構造を解析することに成功した。連結が起こったゲノム座標ペア間の距離の頻度を解析したところ、180、360、540塩基対でピークが見られ、ヌクレオソーム間における連結が解析できていることが確認できた。 さらに私たちは、得られた実験データを分析するコンピュータ解析法の開発を行った。従来行ってきた出芽酵母の約200倍のサイズのヒトゲノムの解析を行うにあたって、ヌクレオソーム間の近接情報をリスト化したバイナリファイル形式の定義を行うなど、分析処理の高速化を行った。加えて、3次元モデリングを行うための分子動力学計算プログラムの開発を進めた。FORTRAN言語を用いて単位ヌクレオソーム構造の定義を行うのと共に、システム温度を低下させながら各ヌクレオソームの最適な位置を導くアルゴリズムの改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Hi-CO法のヒト細胞での解析は本年度において行う予定であったが、早い時期にほぼ達成し、データ分析法の開発を進める段階まで研究が発展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は現在のところ順調に進捗しており、今後も申請時の研究計画の流れに沿って研究を進めていく予定である。次年度においては、開発に成功したヒトゲノムの3次元構造解析技術を基に、様々な生理条件や遺伝子変異体を用いた解析を進めていくことを計画している。加えて、複雑かつ膨大なゲノム構造データの解析を行うため、実験データのビューアーの開発、ヌクレオソーム分解能の各種エピゲノム情報の収集と分析、クラスタリング法や機械学習を用いたヌクレオソーム配列構造の分析法の開発を進行させる。
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