2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of plant centromere formation mechanism and development of plant artificial chromosomes
Project/Area Number |
20H00473
|
Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
舛本 寛 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 室長 (70229384)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | セントロメア / CENP-A / ヒト人工染色体 / 植物人工染色体 / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工合成したDNAや蛋白質から新たな機能を生み出す合成生物学的手法は、基礎研究のみならず産業界へも強烈なインパクトを与え始めている。本研究代表者らにより開発された合成DNAからなるヒト人工染色体(HAC)は、染色体分配機能に関わるセントロメアの形成機構の解明や遺伝子導入ベクターとして広く利用されている。一方、植物では、遺伝子のエピジェネティックな発現抑制がより複雑で、分子生物学解析もより困難であることから、染色体分配に関わるセントロメア形成の分子メカニズムの解明は遅れている。CENP-Aは酵母や動物細胞でセントロメア形成のエピジェネティックな鍵を握るヒストンH3のバリアントである。そこで本研究では植物セントロメアにも分布することが知られている植物CENP-A (CENH3)の集合に関わる因子を明らかにし、植物セントロメアの形成機構の解明を進める。この知見を利用し、植物細胞へ導入した合成DNA上でセントロメアを新規形成させ、植物人工染色体の構築を目指す計画である。具体的には、1)ヒト細胞を用いた植物CENP-Aの集合因子の検索、2)植物染色体異所的部位での植物CENP-Aの集合メカニズムの解明、3)反復DNAの合成と長鎖合成DNAの導入による植物人工染色体の開発、4)HACのプロトプラスト化植物細胞への導入と植物セントロメア化誘導、の4つの研究計画を進める。2020年度は、計画 1)を中心に植物CENP-Aをヒト細胞で発現させた時の集合に関わるいくつかの因子を特定した。更に計画 2)で、これら因子を植物細胞で発現させ植物染色体上でCENP-Aの集合に関わるかどうかの研究も開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はコロナウイルスの影響もあり、実験従事者の雇用や物品購入が計画通りには進まず一部予算を2021年度へ繰越申請も行なった。このため、研究は2020年度から2021年度に跨がったがこの期間の目標とする成果(植物CENP-A の集合に関わる因子の特定)を得ることができた。また、2020年度はその分、論文執筆(Otake et al,JCS,2020)や人工染色体及び動物・植物セントロメアに関する総説集の特集号(本研究者らによる編集、論説及び総説、Ohzeki et al,ECR,2020)を編集し、植物セントロメアや植物人工染色体の研究に関する世界的な動向についての情報収集も進め成果としてまとめることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
100種を超えるタンパク質の巨大複合体であるセントロメアの集合メカニズムについては、解析の進む酵母やヒト細胞でも未だに不明な点が残されている。細胞へ合成DNAを導入することによりセントロメアの機能構造を一から「作って調べる」ことができるヒト人工染色体のシステムは、このような解析にも威力を発揮する。本研究計画では、植物セントロメアの集合機構解明と植物人工染色体の開発を目指して、1)ヒト細胞を用いた植物CENP-Aの集合因子の検索、2)植物染色体異所的部位での植物CENP-Aの集合メカニズムの解明、3)反復DNAの合成と長鎖合成DNAの導入による植物人工染色体の開発、4)HACのプロトプラスト化植物細胞への導入と植物セントロメア化誘導、の4つの計画を進める。2020-2021年度は、計画1)、2)を展開し成果を得た。2022年度はこれらの成果を利用して、計画3)、4)を実施しながら合成反復DNA上での植物セントロメア化誘導と植物人工染色体の開発へとつなげる予定である。
|
Research Products
(7 results)