2020 Fiscal Year Annual Research Report
NMJ形成シグナルの理解に基づく多様な神経筋疾患の克服
Project/Area Number |
20H00496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 亮 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10445025)
江口 貴大 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60845056)
荒川 正行 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 研究員 (90398868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経筋シナプス / シグナル伝達 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経筋シナプス(NMJ:Neuromuscular Junction)は骨格筋収縮の制御に必須であり、その喪失は呼吸を含む運動機能の喪失を招く。本研究代表者らは「細胞内分子Dok-7による受容体型キナーゼMuSKの活性化」がNMJ形成シグナルに必須であり、その異常がNMJ形成不全(DOK7型筋無力症)の原因であることを発見した。さらに、NMJ形成を増強する新たな制御技術を創出し、筋無力症や筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症など、NMJ形成不全を呈する多様な疾患モデルマウスに対する当該制御技術の有効性を実証してきた。これらの成果を踏まえ、本研究では、種々のNMJ形成制御因子や化合物を用いたNMJ形成シグナルの解析を進め、1)個体の運動機能に必須のNMJ形成シグナルを解明するとともに、2)多様な神経筋疾患の病態解明と治療基盤の確立を目指している。 本年度においては、研究代表者らが独自に絞り込んだNMJ形成制御に関与する遺伝子候補を全身および骨格筋特異的に欠損したマウスについて、NMJ形成シグナル、運動機能等の異常に焦点を絞った解析を実施した。加えて、NMJ形成シグナル制御機能を有する化合物を取得し、作用機序の解析に着手した。また、加齢に伴う運動機能の低下に対するNMJ形成増強技術の治療効果を検証し、2年齢マウスでの加齢に伴うNMJの脱神経と運動機能・筋力低下に対する改善効果を実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記載の通り、本年度はNMJ形成制御に重要な新規遺伝子候補について、それぞれの遺伝子欠損マウスを駆使した機能解析を進めることで、NMJ形成シグナルの理解に新たな視座を与えた。さらに、2年齢マウスでの加齢に伴うNMJの脱神経と運動機能・筋力低下に対するNMJ形成増強治療の改善効果を実証したことにより、当該治療基盤の確立においても大きな進展があった。それ故、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
NMJ形成シグナルの解明については、NMJ形成制御に重要な新規候補因子の遺伝子欠損マウスや独自に取得したNMJ形成制御化合物を活用し、当初の計画に沿った研究を着実に推進する。さらに、それらの知見やNMJ形成増強治療の作用機序の解明により、多様な神経筋疾患の病態解明と治療基盤の確立を推進する。
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Research Products
(6 results)