2021 Fiscal Year Annual Research Report
学習依存的に合成されるタンパク質の同定と記憶の長期化における動態の解明
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20H00519
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷本 拓 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70714955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 周 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (90408401)
市之瀬 敏晴 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20774748)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 翻訳制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はショウジョウバエの匂い報酬記憶をモデルに、記憶の長期化を司る分子メカニズムの解明を目指す。具体的には、神経活動に依存して翻訳される候補タンパク質を細胞種特異的に同定する。記憶の長期化に関わる実行因子の動態を細胞種特異的に可視化、操作する遺伝学的技術を確立し、タンパク質の発現レベルと細胞内局在の機能的意義を明らかにする。 この目的のため、研究代表者らのグループはこれまでに、細胞腫特異的なリボソームプロファイリングの実験条件を最適化し、翻訳活性の測定法を確立した。また、この手法を神経細胞およびグリア細胞に適用し、リボソームプロファイリングを行うことで、各遺伝子に対する翻訳活性の検出に成功した。今年度は神経細胞とグリア細胞におけるトランスラトームを基に、翻訳効率が異なる遺伝子ファミリーの同定やその特徴を解析した。予備的な成果として、各種チャネルをコードする遺伝子群やGタンパク質共役型受容体などの神経伝達に関わる遺伝子群の翻訳効率がグリア細胞で特に低いことを見出した。また、各遺伝子上におけるリボソームフットプリントの分布を解析することで、細胞腫特異的な翻訳効率の差異を生み出すmRNA上の構造を特定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね良好に進んではいるものの、コロナ禍での遅延に加えて、細胞腫特異的リボソームプロファイリング実験においてシーケンス解析に必要なサンプル数や精度が不十分であるケースが確認されたため、サンプル調整手法等を再検討のうえサンプル数や精度を補強する期間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の理由から次年度に持ち越した各候補遺伝子に対する翻訳活性の定量・解析を完遂し、論文出版に向けて、最終的な研究成果の取りまとめを行う。
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