2021 Fiscal Year Annual Research Report
記憶形成を促進する睡眠中の脳回路メカニズムの因果的解明
Project/Area Number |
20H00521
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
竹田 真己 高知工科大学, 総合研究所, 特任教授 (00418659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 潔 高知工科大学, 情報学群, 教授 (50372363)
長谷川 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60282620)
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80431766)
渡邊 言也 高知工科大学, 総合研究所, 助教 (90637133)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 記憶 / 睡眠 / fMRI / EEG / tCS |
Outline of Annual Research Achievements |
記憶の固定とよばれる、睡眠中に起きている際に経験した事柄を長期記憶として貯蔵するための情報処理が行われていると考えられているが、いまだ全容解明されていない。我々は、記憶想起中に出現する周波数依存的な協調的脳活動が睡眠中にも再現(リプレイ)されることで記憶固定が促進されるとの仮説を立てた。本研究計画では、ヒトとサルにおいて、高い時空間スケールの脳活動計測と脳活動の位相に合わせたclosed-loop電流刺激法を組み合わせることで、この仮説を検証する。ヒト研究ではfMRIとEEGの同時計測による高い時空間分解能脳活動計測を実現し、サル研究では高密度ECoGによる脳活動計測を行う。記憶想起に関連する脳活動パターンの特徴を深層学習ニューラルネットワークにより同定する。睡眠中の脳活動から記憶想起脳活動パターンを検出し、closed-loop交流電流刺激を行うことで、睡眠後の記憶想起パフォーマンスが増大するか検証する。本研究により、睡眠時リプレイ活動の人為的ブーストを実現し、種横断的な睡眠時リプレイ活動の記憶固定に果たす役割を解明する。コロナウィルス感染症拡大に伴い、一時的に研究に大きな遅延が発生したが、その後研究はおおむね順調に推移し、以下の成果を得た。fMRIとEEGの同時計測系を立ち上げ、得られたmultimodal脳活動データを深層学習によりデコードすることに成功した。この成果は現在論文投稿中である。また、closed-loopシステムを開発し、電流刺激の予備的試験を開始した。その結果、刺激周波数の位相依存的に記憶パフォーマンスが変化することを明らかにした。さらに、サルを用いた共同研究がスタートし、まずはラットを用いた予備的試験を始めることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
fMRIとEEGの同時計測系を立ち上げ、得られたmultimodal脳活動データを深層学習によりデコードすることに成功した。視覚情報のカテゴリ分別デコードは、脳活動の空間的パターンにより効果的に行うことができること、またサブカテゴリ分別デコードは脳活動の時間的パターンにより効果的に行うことができることを明らかにした。この成果は現在論文投稿中である。また、関連してヒトを対象とした脳機能イメージング論文を複数発表した。また、交流電流刺激のclosed-loopシステムを構築し、予備的検討を開始した。睡眠時の徐波を対象に同位相または逆位相刺激を行い、睡眠後の記憶成績を調べたところ、同位相刺激に比べて逆位相刺激の方が記憶成績が低下することを見出した。この結果は、脳波の位相依存的に記憶パフォーマンスを操作できるという本研究の仮説を支持する結果である。さらに、サルを用いた共同研究がスタートし、まずはラットを用いた予備的試験を始めることとなった。動物実験開始のための環境整備を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
closed-loopシステムを用いた周波数位相依存的な電流刺激を行い、記憶成績を操作できるかさらに検証を進める。また、リプレイ活動の検出に、開発した深層ニューラルネットが有効かどうか検証をする。動物実験は、まずはラットを用いて、電流刺激の効果範囲および位相特性について検証を行う。そののち、サルを用いた研究を進める。
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