2020 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患におけるストレス依存的な凝集タンパク質の生成・放出機構
Project/Area Number |
20H00525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩坪 威 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50223409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 薫 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (00735152)
桑原 知樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10533903)
若林 朋子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (20530330)
橋本 唯史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (30334337)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経変性 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)タウが細胞ストレスによって変性し、伝播する機序の解明:in vivo微小透析膜法を用いてマウス脳から間質液を回収し、タウ蓄積依存的に出現する数百キロダルトン以上のタウ分子種がバイオセンサー細胞に対してseed能を示す凝集核タウ分子種であることを示した。 (2) αシヌクレインがリソソームストレスによって変性し、伝播する機序の解明:αシヌクレイン凝集体を内在化させたミクログリアやニューロンに対して、リソソーム過積載をもたらすクロロキンを投与すると、ミクログリアからαシヌクレインが速やかに分泌されることを見出した。このαシヌクレインは生化学的に不溶性であり、かつシード能を有することを確認した。ノックダウン実験から、この分泌はLRRK2および基質Rab10に依存することを見出した。 (3) TDP-43、FUS が変性し、伝播する機序の解明: FUSの細胞質局在と自己重合の検討にbimolecular luminescence/fluorescence complementation法を利用して培養細胞に発現することにより、特定アルギニン残基の脱メチル化がFUSの重合を促進する可能性を見出した。またarseniteによるストレス顆粒形成とTDP-43局在の生じる条件を検証した。 (4)代謝ストレス・インスリンシグナルと変性タンパク質凝集蓄積に関する検討:IRS-1欠損マウス脳においては、IRS-2欠損マウスにおいて観察されるアミロイドβ蓄積の顕著な抑制が生じないこと、また脳内インスリンシグナルの主要成分はIRS-2により規定されることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度にはコロナウィルス感染症の影響により動物実験、研究室における細胞培養等を含む実験に大きな制約が生じ、研究の一定部分を令和3年度に繰り越したが、令和3年度前半には感染防御を徹底しつつ研究体制が整い、タウタンパク質動態、パーキンソン病とLRRK2、運動ニューロン疾患とFUS等RNA結合タンパク質に関する遅滞部分を十分に取り戻しつつ加速することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度にはタウタンパク質のクリアランスと蓄積に関する研究、LRRK2とリソソーム局在に関する研究などを重点的に加速するとともに、in vivo研究のための動物モデル整備にも注力する見込みである。
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Research Products
(5 results)