2020 Fiscal Year Annual Research Report
宿主侵入菌に対する腸管免疫応答を介した消化器免疫難病の病態解明
Project/Area Number |
20H00536
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
金井 隆典 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (40245478)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺谷 俊昭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40624408)
三上 洋平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80528662)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 原発性硬化性胆管炎 / 慢性免疫難病 / バクテリオファージ / ノトバイオートマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性免疫疾患と特定腸内細菌との因果関係を示し、その病態機序を解明することは重要である。我々は肝臓免疫難病である原発性硬化性胆管炎(PSC)が潰瘍性大腸炎患者で頻発することに着目し、通性嫌気性細菌であるKlebsiella pneumoniae(KP)が、PSC患者の腸管内で異常増殖することを発見した。KPが腸管バリア機構の破綻を介して生体内に侵入し、肝臓にTH17細胞を蓄積させることがPSC病態形成機序の中心であることを見出した。そこで、嫌気性腸内細菌がリンパ節を介して生体内に侵入する特性を理解して、これまでの免疫疾患概念と異なり、これら細菌によって惹起される腸管内外の慢性免疫難病の病態形成機序を解明する。これまで原因不明とされた免疫難病において、生体内侵入性腸内細菌による新規疾患発症機序を提唱する。さらに、病因細菌特異的なバクテリオファージを用いた疾患発症・進展に関わる特定腸内細菌の排除を試み、慢性免疫難病の新規治療法の開発をめざす。本年度は、PSC患者由来KPを用いたノトバイオートマウスを用いて、バクテリオファージの投与条件の検討を行った。PSCノトバイオートマウスにバクテリオファージを3日1回のペースで経口投与すると、腸管内に定着したKPを著明に減少させた。さらに、クローン病患者由来便を用いて、ヒトクローン病フローラ化マウスを作製した。糞便移植3週間で解析をしたところ、コントロール群とは異なる腸管免疫プロファイルを示したが、腸管内においてはクローン病病態の形成には至らなかった。本年度の結果をもとに、次年度にさらなる解析を進める予定としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の要となる、ファージ療法開発の動物実験プロトコール作成を完了した。また、腸管免疫難病であるクローン病患者便を用いたノトバイオート動物の解析も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果をもとに、Klebsiella pneumoniae(KP)の腸管バリア破綻機構の解明を進めていく。具体的には、PSC患者由来KP(9株)と非PSC患者(non-PSC)由来KP(4株)についてショットガン・メタゲノミクス解析を実施し、上皮障害の責任遺伝子を候補探索する、候補遺伝子の変異株を作成し、腸管上皮障害能を検証していく。さらに、リンパ節内で分化・誘導されたTh17細胞がどのような機序で肝臓内へ蓄積するのか、Th17細胞のRNAseq解析を進めて、機序を明確にしていく。クローン病患者フローラ化マウスと腸炎モデルの組み合わせを実施し、腸炎病態増悪効果について検討を進めていく。
|
Research Products
(3 results)