2022 Fiscal Year Annual Research Report
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20H00537
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 俊雄 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 名誉教授 (20282527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 大地 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構, その他部局等, 研究員(副センター長・部長クラス) (80735746)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / MDS |
Outline of Annual Research Achievements |
MDS細胞由来エクソソームに含まれるmiRNAによるマウスMSCのオステオブラストへの分化阻害が、MDSにおける正常造血の抑制につながることを明らかにしていたが、今年度は別のMDSモデルマウス(Nup98-HoxD13トランスジェニックマウス)においてMDS細胞由来のmicroRNA、ヒトMDS患者の血清中のmicroRNAを調べ、これら3つのmicroRNA群の標的遺伝子群を比較して共通点を見いだした(Hayashi et al. Cell Rep, 2022)。 MDSにおいてはスプライシング因子変異が多く認められる。分担研究者の井上は、MDSで多く認められるSRSF2、SF3B1、U2AF1などスプライシング分子の変異の共通の標的遺伝子として幾つかの分子を同定し、今年度はそのうち膜蛋白質TM2D1について研究を行った。IL-3依存性BaF3細胞はTM2D1をノックダウンすることによって低濃度のIL-3に反応して増加するようになった。 現在、TM2D1のノックアウトマウスを作成して解析中である。 変異型ASXL1ノックインマウス(ASXL1-MT-KIマウス)は白血病を発症しやすい前白血病状態である。MDSにおいてASXL1変異はSTAG2変異やBCOR変異と併存することが多い。そこでASXL1-MT-KIマウスとSTAG2-KOマウスあるいはBCOR-KOマウスを交配した。ASXL1-MT-KI/SGAT2-KOは5ヶ月以降MDS様の疾患を発症する。その原因としてポリコーム制御されているプロモーターのヒストンK27me3のメチル化がASXL1-MTで低下し、STAG2-KOによって活性化エンハンサーがそのプロモーターに組み変わることによって下流の癌遺伝子が脱抑制することを明らかにした(論文投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画全体として順調に進んでいる。一部のプロジェクトでは難しいところで停滞している部分もあるが、思った以上に進展しているプロジェクトも多い。思った以上に難しく停滞している研究はMDS 幹細胞の同定のみである。それ以外のプロジェクトは予想以上の発展を見せているものが多く今後の研究成果が大きく期待できる。まず、ASXL1-MT-KI/STAG2-KOのMDSモデルマウスの解析はRNAseqに加えて、ATAC法やHiC法で詳細に行うことにより前述のような期待以上の明白な結果を得た。さらにこのマウスの血球減少は免疫抑制剤で改善するという予備的な実験結果を得ていたが、変異を有するT細胞が汎血球減少の原因となっているという意外な結果を得た。またこのT細胞のTCRが同一のものが多いことまで判明し、今後抗原を同定すればMDSと再生不良性貧血の移行モデルの解析が一段と進むことが期待できる。それ以外にASXL1の分解が細胞周期M期でおこる際にCDC20が関与していることを明らかにして論文リバイス中である(Asada et al.)。
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Strategy for Future Research Activity |
STAG2変異と同様にMDSにおいてASXL1変異と共存しやすいBCORについても研究を行い、STAG2/ASXL1変異とBCOR/ASXL1変異との異同について解析する。そのため、ASXL1-MT-KI/STAG2-KOのdouble mutant(AS-DM)マウスおよびASXL1-MT-KI/BCOR-KOのdouble mutant(AB-DM)マウスの解析を進める。AB-DMマウスではASXL1変異でH3K4me3、H3K27me3、H2AK119Ubがそれぞれ低下するが、そこにH2AK119をユビキチン化するPRC1複合体に関与するBCORの変異が加わることによってH2AK119Ubがさらに低下することは想像できるが、それ以外の併存効果も存在するか詳細に調べる。特にASXL1-MTが存在する造血幹細胞は正常造血幹細胞と比較して増殖は弱いのにSATG2やBCOR変異が加わると増殖性優位性を獲得できるかに焦点を絞って研究する。さらにMDS病態にいかなる意味を有するのかもAS-DMマウスとAB-DMマウスを比較しながら解析する。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Eliminating chronic myeloid leukemia stem cells by IRAK1/4 inhibitors2022
Author(s)
Tanaka Yosuke、Takeda Reina、Fukushima Tsuyoshi、Mikami Keiko、et al. Morishita Soji、Imai Misa、Nagata Masayoshi、Araki Marito、Takizawa Hitoshi、Fukuyama Tomofusa、Lamagna Chrystelle、Masuda Esteban S.、Ito Ryoji、Goyama Susumu、Komatsu Norio、Takaku Tomoiku、Kitamura Toshio
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 13
Pages: 271
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Decitabine induces excessive DNA-DNMT1 crosslinks and perturbs faithful mitosis of myeloid tumors2022
Author(s)
Tomohiro Yabushita, Shuhei Asada, Keita Yamamoto, Naru Sato, Yutaka Enomoto, Yosuke Tanaka, Tomofusa Fukuyama, Atsuya Nishiyama, Makoto Nakanishi, Toshio Kitamura, Susumu Goyama
Organizer
The 84rd Annual Meeting of JSH
Int'l Joint Research
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[Presentation] Mitotic Perturbation Is a Key Mechanism of Action of Decitabine in Myeloid Tumor Treatment2022
Author(s)
Tomohiro Yabushita, Takumi Chinen, Atsuya Nishiyama, Shuhei Asada, Keita Yamamoto, Naru Sato, Yutaka Enomoto, osuke Tanaka, Keiko Katoh, Kaori Saitoh, Takamasa Ishikawa, Hitoshi Sato, Tomoyoshi Soga, Yasuhito Nannya, Makoto Nakanishi, Daiju Kitagawa, Toshio Kitamura, Susumu Goyama
Organizer
64th American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting and Exposition New Orleans
Int'l Joint Research
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