2020 Fiscal Year Annual Research Report
Basic research for new immunological therapies based on a pathological mechanism of periodontal disease
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20H00555
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
神沼 修 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (80342921)
永尾 潤一 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (30509047)
有田 健一 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (90780205)
成田 由香 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (50758050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 口腔感染症 / 免疫応答 / 歯周病 / ヘルパーT細胞 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌叢と免疫制御機構の視点から歯周病の病態メカニズムを解明し、それに基づく先進的免疫療法の基盤確立を目指した。 1) 歯周病における腸内微生物叢の役割の解明 生体での腸内微生物叢の役割を解明するために、無菌マウスの各種リンパ組織を採取し、歯周病原細菌に反応する責任Th17細胞の分化誘導についてSPFマウスと比較解析した。また、細胞試料破砕装置を用いて作成した腸内微生物を次世代シーケンサーで分析して、腸内微生物叢と歯周病の病態の関連性について解析した。歯周病発症モデルマウスを用いて、歯周病発症について無菌マウスとSPFマウスを比較解析し、微生物叢が関与していることを見出した。さらに、無菌マウスにSPFマウスの糞を移植することで腸内微生物叢を形成して同様に評価した。 2) 歯周病の病態を司る免疫制御機構の解明 歯周病原細菌を遺伝子改変マウスの腸内投与し、腸管を介して責任Th17細胞を分化誘導した後、口腔内に歯周病原細菌を感染させて歯周病発症を誘導して、GFPを指標に歯肉、腸管、リンパ組織の責任Th17細胞を腸内非感作群と比較解析した。歯周病原細菌の腸内投与によって口腔内で責任Th17細胞が増加することを見出した。マルチカラーFACSセルソーターにて、病態に関わる責任Th17細胞をセルソーティングして解析したところ、一部のサンプルで十分な試料を回収することが困難であったため、セルソーティング分取せずに責任Th17細胞を得る培養方法を確立した。歯周病の疾患モデル動物として、歯周病疾患モデルT細胞クローンマウスの作製に着手した。なお、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け翌年度に行った実験として、歯周病原細菌を無菌マウスの腸内投与し、IL-17Aの産生を指標に生体内での責任Th17細胞を腸内非感作群と比較解析し、無菌マウスでは責任Th17細胞の免疫応答が不十分であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に従い今年度の本科研費で購入した備品を有効に活用して、歯周病における腸内微生物叢の役割の解明、ならびに歯周病の病態を司る免疫制御機構の解明に向けて解析が進んでいます。新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う所属機関の方針による設備の使用制限のため実験が困難となり、実験動物を用いた疾病の誘導実験による免疫制御機構の解析の一部を繰越し、翌年度にその計画を実施しました。全体としておおむね順調に進展しています。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周病における腸内微生物叢の役割、ならびに歯周病の病態を司る免疫制御機構を解析することで歯周病の病態メカニズムを解明します。また、新しい歯周病疾患モデル動物を創生・検証し、歯周病への先進的免疫療法の基盤の確立を進めます。これまでのところ研究はおおむね順調に進行しており、研究計画に従って研究を予定通りに実施していくことで、成果をあげていきます。
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