2020 Fiscal Year Annual Research Report
Past climatic instabilities from high-resolution analyses of methane concentration in an Antarctic ice core
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20H00639
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
川村 賢二 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90431478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大藪 幾美 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (20758396)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 南極氷床コア / アイスコア / ドームふじ / メタン / 急激な気候変動 / バイポーラー・シーソー / 氷期・間氷期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は主に、ドームふじ氷床コアの深い部分(10万年前よりも古い)に連続融解メタン濃度分析手法を高度化して適用し、同コアからメタン濃度を連続的に復元すること、および、得られるメタン濃度を、南極の気温推定結果や、北大西洋や日本海の海底堆積物、南北両半球の石筍試料などから得られる様々な温度と降水量指標と年代を合わせて解析し、北半球の急激な気候変動の程度や頻度、両極を含む地理的広がり、平均気候状態との関係を解明することである。 本年度の計画としては、(1)連続融解メタン分析手法の改良、および(2)分析対象とする年代範囲の検討を挙げていた。 (1)については、同手法の改良の可能性を探るため、気液分離部(デバブラー)および気体抽出部(デガッサー)の小容量化等の試験を実施した。デバブラーについては従来より小型の装置を試験したところ、解像度の顕著な向上は見られなかったが、容量が小さくなったことによる気泡の水ラインへの混入の可能性が大きくなるなどの運用上の支障が予見されたため、従来のタイプが最良であるとの結論を下した。デガッサーについては、異なる形状(箱状)およびサイズの製品を試験し、これまで用いてきたチューブ状のデガッサーと分解能は同等であることを確認した。チューブタイプのデガッサーは寿命が長めである可能性があるため、これも従来用いてきたタイプが最良であるとの結論となった。試料測定部容積が小さいメタン濃度分析装置の導入については、コロナ禍による海外共同研究体制構築の困難もあり今後の検討課題となった。 (2)については、先行研究の最新動向と現在の装置の状態から検討した結果、最終間氷期以前を対象とした分析範囲を検討する前に、最終氷期の一部区間についての分析が必要との結論を下した。具体的には、最終氷期のダンスガード・オシュガー振動17番(約6万年前)を含む期間が最適候補となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほとんどの項目については計画通りに進捗している。小容量の測器の導入については、外国共同研究体制が必要であるが、世界的コロナ禍で難しい状況があり遅れている。当初より、次年度までかけて手法開発を行う計画としているため、大きく遅れているわけではないことから、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に従い、次年度には最終氷期の一部を対象としたメタン濃度の連続融解分析を実施する。先行研究によるデータが豊富に存在する年代範囲をターゲットとする。具体的には、先行研究において(1)南極とグリーンランドの両方のデータが存在する、(2)南極においては高涵養量と低涵養量の両方のデータが存在する、という条件を満たす範囲を対象としてドームふじコアの分析を行う。それにより、我々の分析技術の特質や、ドームふじコアの空気取り込みにおける年代平滑化や年代逆転の影響を評価することが可能であると考えられる。その後、取得データを良く検討した後に、最終間氷期より前の時代の分析を進めていく方策である。小容量の測器の導入については、当該装置の導入実績を持つ外国研究機関との連絡を再開し、検討を進める。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] Collaborative studies for locating the oldest ice near Dome Fuji, Antarctica2020
Author(s)
K. Kawamura, A. Abe-Ouchi, S. Fujita, P. Gogineni, D. Braaten, J-C Gallet, K. Goto-Azuma, R. Greve, E. Isaksson, B. van Liefferinge, K. Matsuoka, H. Motoyama, F. Nakazawa, T. Obase, H. Ohno, I. Oyabu, J. Paden, F. Rodriguez-Morales, F. SAITO, R. A. Taylor, S. Tsutaki,
Organizer
JpGU
Int'l Joint Research
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[Presentation] Fractionation of O2/N2 and Ar/N2 in polar ice cores during bubble formation, bubble-clathrate transition, and gas loss during storage from precise gas measurements of the Dome Fuji ice core, Antarctica2020
Author(s)
Ikumi Oyabu, Kenji Kawamura, Kyotaro Kitamura, Shuji Fujita, Tsutomu Uchida, Jeffery P. Severinghaus, Jacob Morgan, Motohiro Hirabayashi
Organizer
11th Symposium on Polar Science
Int'l Joint Research
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