2020 Fiscal Year Annual Research Report
自己ナノ組織化プロドラッグの創製:癌免疫サイクルの矯正と癌治療への応用展開
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20H00657
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋田 英万 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (80344472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂質様材料 / プロドラッグ / エンドソーム脱出 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、核酸創薬の実現に向けて、 細胞内環境に応答して生体膜バリアを突破し、自己崩壊する脂質様材料(ssPalm)を開発してきた。 本研究では、ssPalmから形成される脂質ナノ粒子に難水溶性薬物を統合し、①薬物同士が自発的にナノ粒子を形成し、②自らの力で体内・ 細胞内動態を制御し、③細胞内環境に応答して自己崩壊することで薬物を放出する『自己ナノ組織化プロドラッグ』を新たな製剤原理として提唱する。また、本分子を基盤とし、抗癌剤を用いない新たな癌のナノ医療技術を確立することを目的とする。 2020年度は、抗炎症薬であるデキサメタゾンの体内動態を制御することで、抗腫瘍活性が制御できることを見いだした。特に、イムノチェックポイント阻害剤との併用により、本阻害剤単独では効果を有さない癌腫においても抗腫瘍効果を発揮できることをみいだした。 また、本研究を通じて我々は、血中において薬物が安定にナノ粒子に保持されるためには、一定以上のlogP値が必要であることを見いだした。本知見をもとに、種々の薬物の疎水性を改変するための分子設計を施すことにより、より高い血中滞留性を獲得することに成功した。 また、一方で我々は、ssPalmから形成される脂質ナノ粒子に対して脂溶性薬物を統合するための新規材料としてのプロドラッグを開発した。本材料は、他の脂質やコレステロールと共にナノ粒子を形成することができたが、その粒子系制御の均一性に課題があった。そこで、同様の作用を有する、異なる脂溶性(cLogP値)をもつ薬物を用いて系統的なナノ粒子形成能の評価をおこなうと共に、さらに、ナノ粒子製造装置を導入し、連続流路内で調製することで、均一性の高いナノ粒子を開発することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デキサメタゾンのナノ粒子化による体内動態制御により、抗腫瘍効果を得ることに成功したのみでなく、血中滞留性の観点から新規のプロドラッグを設計する上で重要な物理化学的特性を見いだした。また、本知見をもとに、脂溶性薬物のプロドラッグを合成し、ナノ粒子化することに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本プロドラッグ搭載ナノ粒子について、薬理作用を解析するのみでなく、様々な核酸送達システムへと応用すべく、pH依存的な膜破壊活性(エンドソーム脱出効率の指標)について評価する。また、実際に核酸を搭載し、in vitro等での核酸導入活性について評価する。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Self-degradable Lipid-like Materials based on "Hydrolysis accelerated by the intraParticle Enrichment of Reactant (HyPER)" for Messenger RNA Delivery2020
Author(s)
Tanaka H, Takahashi T, Konishi M, Takata N, Gomi M, Shirane D, Miyama R, Hagiwara S, Yamasaki Y, Sakurai Y, Ueda K, Higashi K, Moribe K, Shinsho E, Nishida R, Fukuzawa K, Yonemochi E, Okuwaki K, Mochizuki Y, Nakai Y, Tange K, Yoshioka H, Tamagawa S, Akita H*
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Journal Title
Adv Funct Mater
Volume: 30
Pages: 1910575
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Vitamin E Scaffolds of pH-Responsive Lipid Nanoparticles as DNA Vaccines in Cancer and Protozoan Infection2020
Author(s)
Maeta M, Miura N, Tanaka H, Nakamura T, Kawanishi R, Nishikawa Y, Asano K, Tanaka M, Tamagawa S, Nakai Y, Tange K, Yoshioka H, Harashima H, Akita H
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Journal Title
Mol Pharm
Volume: 17
Pages: 1237-1247
DOI
Peer Reviewed
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