2021 Fiscal Year Annual Research Report
脳疾患部位を標的とする先端的核酸デリバリー技術の確立と脳疾患治療への挑戦
Project/Area Number |
20H00658
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50436523)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 陽祐 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (00452714)
林 光太朗 公益財団法人川崎市産業振興財団(ナノ医療イノベーションセンター), ナノ医療イノベーションセンター, 研究員 (00780660)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 薬物送達システム / ナノ医薬 / 核酸医薬デリバリー / アンチジーン核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳内に核酸医薬等を効率良く送達することのできるデリバリーシステム(あるいはナノ医薬)の開発を目標にした。この目標を達成するために、1~2分子のポリマーと1分子の核酸医薬から形成される最小スケールのナノ医薬「ユニットポリイオンコンプレックス(uPIC)」を基盤技術として一連の研究を推進した。本年度は、特にuPICを構成するポリマーの重合度の寄与を詳細に評価した。具体的には、2分岐のポリエチレングリコール(bPEG)とポリリシン(PLys)から成るY字型ブロックコポリマーのPLys重合度を10, 14, 20, 40, 80と変え、uPICの会合状態および生体内での安定性への寄与を評価した。結果として、PLys重合度に応じてuPIC形成時のポリマーと核酸医薬の会合数はわずかに変化する一方で、uPICの粒子径は15~20 nmの範囲で大きくは変わらないことが確認された。一方、uPICの生体内(特に血流中)での安定性に関しては、PLys重合度が小さくなるに連れて上昇することが明らかになった。これは、PLys重合度の減少とともに、ポリマー自体の血中滞留性が増加することに起因すると考察された。また、本研究ではナノ医薬(uPIC)の研究と並行して、搭載すべき核酸医薬の機能化も検討した。今年度は、アンチジーン核酸を効率的に核内に運び込むブースター核酸の化学修飾を行い、細胞膜透過機能を有する分子を複数個導入することにより、化学修飾ブースター/アンチジーン核酸が細胞内に取り込まれることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、生体内で優れた安定性を有する核酸医薬デリバリーシステム(uPIC)の開発に成功するとともに、uPICを構成するポリマー組成の寄与を明らかにすることができた。さらに、細胞内移行性に優れる機能性核酸(化学修飾ブースター/アンチジーン核酸)の設計にも成功した。従って、順調に研究が進捗しているものと判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、血中滞留性に優れるuPICを用いて、種々の脳疾患モデルに対する集積性等を評価する。具体的には、脳腫瘍モデルや脳梗塞モデルを作出し、疾患部位に対するuPICの集積挙動を評価する。また、既存技術あるいは競合技術に対する優位性の有無を検証する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Book] 医用工学ハンドブック2022
Author(s)
佐久間 一郎、秋吉 一成、津本 浩平、他
Total Pages
544
Publisher
エヌ・ティー・エス
ISBN
978-4-86043-735-0
-