2021 Fiscal Year Annual Research Report
Medical application of biodegradable injectable polymer gels having controllable degradation periods
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20H00670
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
大矢 裕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10213886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 真司 大阪医科薬科大学, 医学研究科, 教授 (80288703)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | インジェクタブルポリマー / ゾルゲル転移 / 生分解性高分子 / 癒着防止 / 再生医療 / 脂肪由来幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内へ注入後,体温に応答してヒドロゲルを形成する温度応答型生分解性インジェクタブルポリマー(IP)の医療応用について検討した。本研究は,温度上昇に伴いゲル化する際に,チオール-エン反応により共有結合架橋を形成し,体内でのゲル状態維持期間や力学的強度を簡便に調整できるIPを使用している点に特徴がある。2021年度は,このIPシステムの,(1)癒着防止材としての応用,(2)脂肪由来幹細胞(AdSC)を用いた心筋梗塞治療,(3)組織接着性を付与したIPによる血管塞栓について検討した。 (1)ラット盲腸に作成した癒着モデルに対し,IPを塗布したところ,臨床使用されているセプラフィルムと同等以上の癒着防止効果が見られた。また,癒着防止効果のある薬剤(キマーゼ阻害剤)との併用による癒着防止能の向上も観測された。本IP製剤は,セプラフィルムに比較して,内視鏡手術への使用が容易であり,癒着防止材としての有用性は高いと考えられる。 (2)心筋梗塞モデルマウスの患部に,AdSC内包IPを注入したところ,毛細血管の再生と心機能の回復が確認された。これはAdSCから分泌されるVEGFなどのサイトカインによる効果であると考えられる。実際,IPゲル中に保持したAdSCから,VEGFなどが分泌されることをRT-PCRなどの手法により確認した。 (3)血管塞栓材としての使用を想定し,IPゲルに組織接着性の付与を行なった。末端をアルデヒド化したプルロニック(PL-CHO)をIPに添加することにより,組織表面のアミノ基との反応により,組織接着性が向上することを,ブタ肝臓接着における剪断応力試験により明らかにした。この接着性を有するIPゲルを市販の動物血管に封入して塞栓させ,耐圧性能を評価したところ,PL-CHO添加により耐圧性能が向上し,人の血圧にも耐えうる値を示し,血管塞栓材として使用可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
癒着防止効果と細胞デリバリー治療,順調に実験が進行し,良好な治療効果を得た。血管塞栓については,in vitroの系での機能発現を確認できた。ワクチン徐放製剤,麻酔薬徐放製剤については,モデル動物系での評価が現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,血管塞栓,ワクチン徐放製剤および麻酔薬徐放製剤についての動物実験を行い,その結果を取りまとめる。癒着防止に関しては,マウス・ラットよりも大型の動物にモデル系を作成して,実験を検討する。一方で,実用化を念頭に,製剤の滅菌方法と安全性評価および製剤の最終形態の最適化などについても検討する。
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Research Products
(21 results)