2020 Fiscal Year Annual Research Report
天文遊歴家朝野北水の講義内容から知る江戸時代の天文普及
Project/Area Number |
20H00674
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Research Institution | 長野市立博物館 |
Principal Investigator |
陶山 徹 長野市立博物館, 学芸員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 天文学史 / 江戸時代 / 天文教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
・研究目的:江戸時代、全国各地を歩きまわりながら、天文について教えた天文遊歴家、朝野北水の足跡と講義内容を明らかにし、江戸時代の天文普及の形、そして、当時の人々の宇宙観や天文に関する興味についての知見を得る。 ・研究方法:先行研究や各施設の目録などから北水関連資料の所在について知ることができる。これにより、資料名や内容からその資料が北水関連のものかどうかを判断し、資料リストを作る。この際、資料群としてまとまりがあり、由来が明らかな資料に焦点を当て、調査を進める。これにより、北水が講義を行った場所、講義を受けた人物を明らかにすることができる。さらに、資料群の内容を精査することで、講義内容を知ることができる。この北水の講義内容が当時の人々が関心を持っていたものだと考えられる。 ・研究成果:先行研究や各施設の目録をもとに申請者が各施設の資料調査を行った結果、以下の事がわかった。北水は、1808年~1809年に信越地方を遊歴している。1811年~1814年は、東北地方から関東を抜け、関西まで足を延ばしている。1821~1824年は江戸深川に居て、1827~1830年には中部地方を遊歴している。つまり、約20年以上の時をかけて、全国各地を遊歴していることがわかる。また、年代は不明だが、長門国や阿波国まで足を延ばした痕跡も見られる。そして、長野県に二度足を運んでいるのも興味深い。講義を受けた人物も多様である。松代や高遠の例のように、藩校で教鞭を執るような人物が講義を受けることもある一方で、御子柴家や松坂家のように、比較的裕福な商家で講義をした例もある。
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Research Products
(4 results)