2020 Fiscal Year Annual Research Report
選択行動と選択反応の特性を用いた隠匿情報検査の法科学的有用性の検証と適用法の確立
Project/Area Number |
20H00706
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Research Institution | 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
大塚 拓朗 兵庫県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 犯罪捜査 / 記憶・強制選択テスト / 隠匿情報検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の犯罪捜査では、捜査線上に浮上した容疑者が犯罪事実に対して真犯人でしか知りえない内容を知っているか否かを確認するポリグラフ検査が活用されている。ポリグラフ検査は、隠匿情報検査(concealed information test: CIT)と呼ばれる記憶検出を目的とした質問法を用いて行われているが、自律神経系生理反応を指標としているため、検査環境や検査対象者の条件による限界もある。そこで、本研究では生理反応に依存しない強制選択テスト(forced choice test: FCT)と反応時間を用いた隠匿情報検査(reaction time-based CIT: RT-CIT)に注目し、FCTの反応パターン(選択行動の特性)とRT-CITの反応時間(選択反応の特性)を指標とした記憶検出検査の犯罪捜査への適用可能性について検討した。 実験1では、選択行動の特性を指標とした強制選択テストの適用可能性について検討した。その際、先行研究で適用されていたFCTでは、実際の犯罪捜査場面への適用が難しいと考えられたことから、新たな強制選択テストの開発を行った。実験では既存のFCTと修正FCTの有用性を比較した。その結果、修正FCTの有用性が確認できた。 実験2では選択反応の特性を指標としたRT-CITと修正FCTを併用する形で、行動反応のみを指標とする記憶検出検査の有用性について予備的検討をした。実験では同じ質問を使って、実験参加者にRT-CITを行わせた後に修正FCTを行わせた。その結果、選択反応と反応選択の特性を用いた行動指標のみの記憶検出検査には一定の限界も見られた。 自律神経系生理反応を指標としたCITと標準FCTを併用した記憶検出検査の有用性は確認されていることから、今後、自律神経系生理反応を指標としたCITと修正FCTを併用する有効な方法について検討していきたい。
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