2020 Fiscal Year Annual Research Report
火災時の現象を体験する実践的な居室を用いた煙体験訓練の改良
Project/Area Number |
20H00872
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邉 武 東北大学, 工学研究科, 技術一般職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 煙体験訓練 / 中性帯 / 防災教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校や大学で行われる防火防災教育において、火災時の避難および消火に関する行動を効果的に学習させるため、異なる4種類の訓練を体験させた2か月後に濃煙下で避難させ、学習効果の高い条件の抽出、訓練の実用性について検討を行った。 (1)訓練条件の設定:従来から行われている煙体験は煙以外の演出が無いため、疑似炎となるLEDを追加した訓練や燻製調味料の臭いを追加した訓練、家庭用火災感知器の警報を発した訓練の3種類を準備した。さらに訓練を360度カメラで撮影し、VRゴーグルで疑似体験させる訓練を追加し、訓練をしないグループも合わせ計5条件を設定した。また、同時体験者数は1人と2人を設定した。なお、これまでの訓練で中性帯を再現することに一定の教育効果が見られたため、すべての条件で中性帯を再現し、その手法や成果の一部を論文により公表した。 (2)必要訓練条件の抽出:測定データは、避難時間、避難方法、脈拍、不安度、防災知識である。避難時間と避難方法では訓練条件による差が見られたが、脈拍や不安度、防災知識では訓練条件による差があまり見られなかった。訓練に取り入れた方が良い演出は、中性帯の煙、焦げたような臭い、火災感知器の警報であり、疑似炎の必要性は低いと確認された。 (3)訓練の実用性:今回の設定条件では懸念されていた訓練によるパニックは確認されず、適度なストレスの疑似環境下で煙体験訓練を実施できた。効果的な訓練に必要な機器は、煙発生装置、燻製調味料、家庭用火災感知器であり、熱風発生機とダクトを併用することで中性帯も再現可能とする。また、VR体験も一定の教育効果があったため360度カメラで再撮影し、VRゴーグルと燻製調味料を使用するVR体験プログラムを策定した。
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