2020 Fiscal Year Annual Research Report
数理横断的な課題解決学習の数学科における実践的研究~津波到達時間を題材として~
Project/Area Number |
20H00895
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今野 雅典 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 協働学習 / 教室実験 / 教科横断 |
Outline of Annual Research Achievements |
次期高等学校学習指導要領では数学的活動が引き続き重視されており、日常の事象や社会の事象などを数理的に捉えることが位置づけられている。また「数理横断的なテーマに徹底的に向き合い考え抜く力を育成」するために「理数探究」等の科目が新設された。数学Ⅱおよび数学Ⅲの授業において、津波の到達時間を題材に数学を活用する教材を開発した。これは日常の問題解決場面を数理的に捉えさせ、物理や地学とのクロスカリキュラムにより数理横断的なテーマを生徒に考えさせる授業実践である。 数学Ⅱ(高校2年生の数学の科目)の積分の単元で7時間の授業、数学Ⅲ(高校3年生の数学の科目)で2時間の授業を実践した。 数学Ⅱの授業では長さ1.0mの水槽に深さ1cmの水を入れ、波を起こし、波が壁で反射した時点からストップウォッチで計測を開始し1m先の壁に到達するまでの時間をもとに波の速度を算出した。その後水深を2cm、3cm、4cmと変化させ同様に波を計測し、水深Hと速度vの関係を立式した。その際生徒が実験の方法に対する疑問を口にした。それは壁に反射した波を測定する不自然さや、反射した波が後続の波と衝突することで速度が変化していると感じたためである。 一方、数学Ⅲの授業では長さ1.5mの水槽を使用した。この場合、壁に反射した波ではなく、発生した波をそのまま計測の対象にできたこともあり、疑問を口にする生徒がいなかった。数学Ⅱと数学Ⅲは学年が異なるだけでなく、前者が文系を含む生徒に対して後者が理系を中心とした生徒ということもあり直接比較することはできないが、数学Ⅲの授業の方が生徒が集中してデータを分析していた。それは水槽の長さの変化により、違和感なく実験結果に向かい合うことができたためだと考えている。
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