2020 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校化学実験における実験計画立案が及ぼす効果の研究
Project/Area Number |
20H00901
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Research Institution | 千葉県立千葉東高等学校 |
Principal Investigator |
北川 輝洋 千葉県立千葉東高等学校, 千葉県立千葉東高等学校教諭
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 実験計画の立案 |
Outline of Annual Research Achievements |
高校の化学基礎の授業における実験計画の立案を意識した教材の開発を目的とし研究した。高校1年生を対象に以下の(1)から(5)の実践を実践し、生徒が実験計画の立案が生徒の実験への取り組み方や授業後の考察記述がどの様に変容したかという観点で分析した。 (1)考察記述の書き方指導;蒸留実験の考察記述を題材に相互評価を行い記述に関する意識づけを行なった。 (2)単元、テーマ;化学結合、物質の同定、6つの物質の性質を調べ同定する。(水晶、ショ糖、透明、ポリプロピレン、ポリエチレン、食塩、スズ) (3)課題の設定;グループ実験にて触感、物質の硬さや割れ方、熱による変化、を調べたあと、6種類をすべて同定するために他にどのような調査が必要かを各自で考えさせた。 (4)仮説,実験計画の立案;実験計画を立案させ教師による確認をした。誤った操作や危険の有無を確認し必要に応じて修正した。実験計画の内容で最も多くの生徒が立案したのは「結晶に電気が通るか調べた」、次に「水に対する浮き沈みを調べた」であった。2割程度の生徒が、エタノールを用いた密度の測定の計画を考え実施した。 (5)検証実験、レポート提出、アンケート実施;多くの生徒の考察記述は、実験から得られた結果をもとに結論を導いた。水晶、ショ糖、食塩、スズの正解率は100%であった。ただし、ポリプロピレン、ポリエチレンについては、理由まで正確に書かれていたものは約2割であった。事後アンケートの結果「自分で計画した実験を行うことは達成感があった」「このような課題はやりがいがあった」に関して「とてもそうだ」「まあそうだ」と回答した生徒は9割程度にのぼった。当研究より、「自分自身で実験計画を立案・その実験を実施・期待通りの結果が出ない」という経験を通して「実験計画を改善・再実験」という活動は、生徒の心をくすぐる効果があり、探究的な学びの教材となることがわかった。
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