2020 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性・強誘電薄膜の磁区・分域構造観察に適した高感度磁気・電気力顕微鏡探針の作製
Project/Area Number |
20H00954
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
江川 元太 秋田大学, 理工学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 磁気・電気力顕微鏡探針 / 強磁性・強誘電薄膜 / 電界書込み |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,強磁性・強誘電薄膜は次世代記録デバイス用材料として注目されており,その性能評価として記録ビットに相当する磁化状態を観察する事が必要となっている.その観察には走査型プローブ顕微鏡(SPM)の一種である磁気力顕微鏡(MFM)と静電気力顕微鏡(EFM)を用いる事で評価を簡便に行う事が可能であるが,評価に用いる磁性探針は種類が極めて少なく,かつ磁気特性も不明,磁気特性が開示されていても,飽和磁化(Ms)や保磁力(Hc)が小さい,MsやHcは大きいが導電性が無い,などから,強磁性・強誘電薄膜の評価に適しているか不明である.本研究では,Si探針母材に成膜する磁性薄膜として,組成制御によりMsやHcを変化させる事ができるCoCrPt系金属磁性薄膜を用いて,強磁性・強誘電薄膜の磁区および分域構造の高分解能観察を実現する,探針全域で高い導電性,最適なMs,高いHcを併せ持つ,高性能な磁気・電気力顕微鏡探針の作製を試みた. 実験では,組成制御により特性を様々に変化させたCoCrPt系薄膜を作製し,その中からMsが約500,700,900 emu/cm3の薄膜を探針に成膜した.Msが70 emu/cm3で膜厚が260 nmの(Bi,La)(Fe,Co)O3強磁性・強誘電薄膜において,SPMのコンタクトモードで電界を印加して書き込みを行い,MFM・EFMで磁区構造および分域構造の観察を行う事で評価した.最も大きなMsを有する900 emu/cm3の探針で測定したEFM像では,想定していた位相の極性と反転しており,探針と(Bi,La)(Fe,Co)O3薄膜との間に働く大きな磁気力の影響で電荷分布を正確に測定する事ができなかった事,700 emu/cm3の探針を用いる事で明瞭なMFMおよびEFM像の測定が可能である事が判った.以上から,測定試料の特性に合う探針の作製ならびに選定に成功したといえる.
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Research Products
(5 results)