2020 Fiscal Year Annual Research Report
固体NMR法による酸素欠陥構造定量解析と材料開発に向けた指針構築
Project/Area Number |
20H00959
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安東 真理子 東北大学, 工学研究科, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 固体NMR / 局所構造解析 / 燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
燃料電池の一種である固体酸化物型燃料電池(SOFC)は、イオン伝導性を示す酸化物を電解質に用いて高温で作動する。SOFCに使われる酸素イオン伝導性を示す電解質は酸化物イオン伝導体と呼ばれ、中でも(Bi2O3)1-x(Y2O3)xは非常に高い伝導度を示すことで知られている。イオン伝導度にはその酸素欠陥構造と深い関連があり、酸素欠陥構造の解析を行うことは重要である。すなわち、酸素欠陥構造解析から酸素欠陥の量、位置の変化とイオン伝導度の関係を調べることで、新規電解質開発への新たな知見を得ることが出来る。本研究では前述した目的を達成するために、固体NMRを感度良く測定するための工夫を施した。試料(Bi2O3)1-x(Y2O3)のO-17NMR測定はそのまま測定したのでは感度が悪く、信号はノイズレベルであった。そこで、置換装置を用いてO-17同位体置換の条件検討を行い、通常の1000倍程度の感度向上を達成した。その、同位体置換を行った(Bi2O3)1-x(Y2O3)を用いてO-17NMR測定を行った。解析に十分なS/N比を得るため、積算回数20000回、繰り返し5[s](T1=1(s))の測定条件でNMR測定を行った。O(Bi)4のNMRシフト値は過去の報告と一致する196[ppm]に得られた。また、O(Y)4のNMRシフト値が、330[ppm]に観測され、すべての酸素サイトのアサインを行うことに成功した。このアサインの結果を元に、各組成毎の波形分離を行い、定量的に各酸素サイトの存在比を比較することが出来た。Y-89NMRの結果も合わせると、組成におけるY添加量が増えると、Body diagonal<1,1,1>V0-V0 pairを持つ6配位のイットリウムも増えていくことが分かった。
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