2020 Fiscal Year Annual Research Report
核酸アプタマーおよび核酸の自律的鎖交換反応を利用した薬毒物の簡便な検出法の開発
Project/Area Number |
20H00967
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Research Institution | 長崎県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
嶋田 裕史 長崎県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | グリホサート / 核酸アプタマー / 金ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界で広く使用されている含リンアミノ酸系除草剤の一種であるグリホサート(Glyp)の簡便な検出法の開発を目的とした。本研究では、Glyp認識部として、抗体のように特定の標的分子と結合することができる核酸アプタマー(既報の塩基数76の一本鎖DNA)を用いた。このGlypアプタマー(A)と、水溶液中において分散状態では赤色を呈し、凝集することによって青紫色を呈することが知られている金ナノ粒子(AuNPs)とを組み合わせた比色法の検討を行った。 当初計画していた核酸(DNA)の自律的鎖交換反応に基づく系は、各DNAの塩基数、濃度、共存塩濃度等の種々のパラメータの最適化ができなかった。そこで、塩(NaCl)を添加することによって起こるAuNPsの凝集を利用した系に変更した。すなわち、Glyp非共存下では、一本鎖状態のAがAuNPsを取り囲んで保護するため、NaClを加えても凝集しない(溶液は赤色のまま)。一方、Glyp共存下では、AはGlypと結合するためAuNPsが保護されず、NaClの添加によって凝集が起こり青紫色を呈するという系である。 Aを100nM含有するAuNPs(直径20nm)水溶液100μLに、検体であるGlyp水溶液(10μg/mL)を1μL添加して10分後に2M NaClを10μL加えると、溶液が青紫色に変化した。しかしながら、現状では応答に数時間を要しており、実用に耐えうるものではない。AuNPsの直径や、用いるAの濃度、塩の種類・濃度等を最適化することによって応答時間を数秒~数分程度に短縮する必要がある。さらに、妨害反応を抑制し、再現性を高めることができれば、現場レベルでの簡易検出法への応用が期待できる。
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