2020 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的に多様な純系を作出するための遺伝資源評価パイプラインの構築
Project/Area Number |
20H00975
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
太田 敦士 京都大学, 農学研究科, 技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 純系 / 系統解析 / 主成分分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】遺伝的に固定された系統(以下、純系)の整備は、ジーンバンクの重要な責務である。当研究室では長年コムギ遺伝資源を系統維持してきたが、純系化されているのは一部の系統のみである。本研究では、複数の純系で構成された「遺伝的に多様な純系集団」を整備するために、新たな純系候補を選抜するパイプラインの構築をおこなった。 【純系候補選抜パイプライン】本研究で構築したパイプラインは、二段階選抜で純系候補を選ぶ: 第一に、SNP情報で系統解析をおこない、純系を含まない系統群を一次選抜する。第二に、表現型解析で二次選抜する。二次選抜では、まず、主成分分析で表現型情報の次元削減をおこなう。つぎに、任意系統を加えた仮想純系集団を作り、主成分得点の分散を調べる。分散が最も大きくなる系統を一次選抜系統の中から選定する。 【系統解析】本研究では、コムギ近縁野生種Aegilops bicornis 34系統(純系4系統を含む)を研究対象にし、各系統をGRAS-Di法によりシーケンシングした。各シーケンシングリードをタルホコムギゲノムにアライメントし、ゲノムワイドSNPsを得た後、系統解析をおこなった。その結果、種内は2つの系統群(西地域と東地域系統群)に分けられた。既存の純系のうち、3系統は東地域系統群に属し、1系統は西地域系統群に属していた。西地域系統群内には、純系を含まないサブ系統群がみつかった。そこで、そのサブ系統群に属する9系統を純系候補として一次選抜した。 【表現型解析】全34系統について、表現型(穂長や小穂数、穂密度、芒長、小穂長、出穂日、開花日)を調査した。主成分分析により、表現型の分散の90.6%を説明できる4つの主成分を得た。それら主成分を使って二次選抜し、純系候補系統を選定した。そして、選定された系統を次の自殖更新のために播種した。
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Research Products
(1 results)