2020 Fiscal Year Annual Research Report
放牧時期の違いが黒毛和種繁殖牛の運動量、体温、摂食量に及ぼす影響
Project/Area Number |
20H00980
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
邉見 広一郎 宮崎大学, 農学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 黒毛和種 / 放牧 / 体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究では黒毛和種繁殖牛において放牧時期の違いが体重、摂食量、歩数、体温、栄養状態に影響を与えるかを明らかにするために、5月、8月、11月の3季節での比較を行った。 【方法】牛の体温はデータロガーを腟内に挿入し、歩数は前脚に歩数計を取り付けて測定した。放牧前後に牛の体重を測定し、放牧による体重増加量を毎日計算した。放牧1,3,5,7日目の夕方に採血を行った。 【結果】放牧地の放牧前草量は8月が最も多く、次いで11月、5月の順であり、牧草のタンパク含量は5月が最も高く、次いで11月、8月の順であった。体温について5月と8月は放牧直後から、11月は放牧1時間前から急激に上昇した。最高体温は5月は昼頃、8月は放牧後1時間で、11月は午後2時頃最高点を迎えた。8月は夜間に再び体温上昇が認められた。放牧時間中の体温は8月が最も低かった。体温の日内変動は季節により異なるものとなった。歩数について、5月と8月は放牧1日目に最も多く、その後は少なくなったが、11月は放牧1日目から7日目にかけて徐々に増加した。放牧前後の体重増加量は5月と8月は放牧1日目が少なく、その後徐々に増加したが、11月は放牧期間を通し同程度のまま推移した。5月と8月は歩数と体重増加量の間に有意な負の相関が認められた。栄養状態について、血中尿素態窒素濃度は3季節とも放牧1日目に低く、その後増加した。アルブミン濃度は8月が放牧中、他季節に比べ低く推移し、正常値を下回っていた。 【結論】5月と8月は放牧地の草量が不均一で、草を求め歩き回ることで歩数が増加し、摂食に用いる時間が少なくなった可能性が示唆される。一方で11月では放牧中の体重変動が少なかったことから放牧地の草量が均一であった可能性が示唆される。放牧季節により、牛の体温、歩数、体重変化、栄養状態は異なり、その原因は放牧地の草量と質によるものと考えられた。
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