2020 Fiscal Year Annual Research Report
パミスサンド栽培におけるパインアップルのフレーバー特性と機能性の解明
Project/Area Number |
20H00981
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
新垣 美香 琉球大学, 農学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | パインアップル / パミスサンド栽培 / 果実特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
沖縄県でブランド化が進められているパインアップルについて、従来の赤土栽培の課題を改善する目的で、管理作業の軽減と高品質な果実生産の可能性について検証した。2017年より新たな栽培法として軽石を粉砕した培地(パミスサンド)を用いたパインアップルの試験を行っており、本研究では植え付け時期の異なる株の収量調査および果実特性について検証した。 試料として沖縄の主要品種‘N67-10’などを用いた。2017年11月と2018年2月、4月、9月にパミスサンドと赤土(コントロール)で株の植え付けを行い、pF 2.0を目安に肥料または水を与えた。収穫した果実は果実重などを測定して収量調査し、糖度と酸度測定、アスコルビン酸および総ポリフェノールの定量、H-ORAC法による機能性の分析、GCを用いた香気成分の分析により果実特性の評価を行った。 2020年度までにデータが揃った‘N67-10’について、全ての植え付け時期でパミスサンド区が赤土区より高い収量を示した(果実重 約2倍)。特に4月植えのパミスサンド区は栽培期間が短く、果実重は最大値を示し、収穫数も最も多かった。また、パミスサンド区の果実特性については、糖度ならびに酸度が赤土区とほぼ同じ値で、その糖酸比は22.8~34.9と良食味基準を満たした。アスコルビン酸は赤土区より低かったが、香気組成は赤土区と大きな差がないことが示された。また4月と9月植えについて、果汁の総ポリフェノール含量は赤土区とほぼ同じ値を示したが、ORAC値は低かった。以上のことから、パミスサンド栽培では特に4月に植え付けを行うと、短い栽培期間で大きい果実が安定して収穫できることが示された。さらに、食味に影響を及ぼす糖酸比やフレーバーについては赤土栽培とほとんど違いがないことから、果実の肥大が甘みや香りに影響を与えない一方、ORAC値は低くなることが示唆された。
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