2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H00985
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
太田 勇太 東海大学, 海洋学部博物館, 東海大学博物館学芸員
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 –
|
Keywords | ホトケドジョウ / 絶滅危惧種 / 産卵抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホトケドジョウは絶滅危惧種ⅠB類に指定されている淡水魚である。本種は繁殖に関する基礎的知見が不足しており、今後も個体数が減少することが考えられる。そこで、本研究では本種の産卵を抑制する要因として水温と日長による影響を調べ、本種を安定的に増殖させ教育普及に活用することを目的とした。 本種の産卵制限要因を明らかにするために5月10日と6月21日から40日間飼育した。供試個体は実験開始時に60×30×36cm水槽に5個体ずつ収容した。5月から開始した実験では水温17、23℃、日長12、14L、6月からは水温18、23℃、日長12、14Lを組み合わせた4条件で飼育した。実験開始時および終了時には摘出した生殖腺の組織学的観察をした。また、5月からの実験ではテストステロン(以下、T)の血中濃度の測定によって水温や日長が生殖腺に及ぼす影響を評価した。 5月の開始時の雌2個体の卵巣には成熟期までの卵母細胞がみられ、雄1個体で精細胞、2個体が第二次精母細胞までの精巣であった。実験終了時の血中T濃度は23℃12Lの1個体のみ17℃の個体よりも低い値であったが、条件による有意な差はみられなかった。実験終了時の生殖腺は17℃の条件で成熟した個体が多くみられ、23℃14Lでは1個体を除いて退行した生殖腺がみられた。 6月の開始時の雌1個体の卵巣には成熟期までの卵母細胞がみられ、雄4個体の精巣には精子がみられた。実験終了時の生殖腺は18℃の条件で全ての個体が成熟していたが、23℃の条件では全ての個体で退行した生殖腺がみられた。 5、6月の実験では実験開始時と同様の水温である17、18℃では成熟した個体が多かった。一方で、実験開始時より高い23℃に上昇させた条件では日長時間に関係なく生殖腺が退行している個体が多いことから本種の産卵期を抑制する要因としては水温の上昇が影響していると考えられる。
|