Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
本研究の結果,新たに3種のゴキブリ類の分布が明らかとなり,14既知種となった。森林性種として,サツマゴキブリとキスジゴキブリの2種の分布が明らかとなった。サツマゴキブリは離島部にも侵入しており,住民からの聞き取り調査の結果も踏まえると,離島部の本種については人為的な侵入の可能性が高いことが示唆された。一方,衛生害虫種であるワモンゴキブリを福岡市中心部および,福岡市東区において確認することができた。捕獲することはできなかったため,標本を得ることはできなかったが,前胸背板の特徴的な模様から本種であると考えられる。
衛生昆虫
森林性ゴキブリ類は,森林生態系の重要な分解者であるが,本県でのゴキブリ相はほとんど明らかとなっていない。多様な種が共存することにより森林生態系が維持されていることを明らかにするためにも,今後も分布調査を行っていく必要がある。九州北部の長崎県対馬島では,外国人の観光客の増加にともない,海外からの積荷に外来種が混入することも予想される。対馬には固有昆虫種も知られていることから,外来種の侵入による生態系の破壊も懸念される。今後の展望としては,九州本土部だけではなく,周辺離島のゴキブリ相も明らかにすることで森林生態系の保護に寄与すると考えられる。