2020 Fiscal Year Annual Research Report
ルテインによるTRPA1チャネルの阻害効果を応用した慢性掻痒の補完代替療法
Project/Area Number |
20H00993
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
東海林 由巳子 麻布大学, 生命・環境科学部, 研究生
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 痒み / TRPA1 / ルテイン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、食の生体調節機能を応用した疾病治療法として「補完代替医療」が期待されるなか、申請者らは緑黄色野菜に含まれるルテインがTRPA1 チャネル活性を抑制することを明らかにしている。そこで、本申請課題では、ルテインがTRPA1 チャネルの阻害剤として機能し、慢性的な痒みの予防・緩和に効果があるかを評価した。5週齢の雄性ICRマウスを使用し、Miyamoto T et al. (2002)の報告に従って“乾燥肌誘発痒みモデル”を作出した。ルテインによる痒みの緩和効果の検証には、痒みモデル動物にルテイン(10mg/day/kg B.W.)を腹腔内投与し、その緩和効果を確認した。痒みの評価には、肉眼観察による引っ掻き行動を計測した(ビデオカメラでモデル動物の引っ掻き行動を撮影、撮影後にビデオ再生し、前・後肢による引っ掻き行動の時間と回数を計測)。痒みモデル動物群においては、経日的に単位時間あたりの後肢ひっかき行動が有意に増加しており、「痒み」の感覚が生じていた。痒みモデル動物群にルテインを慢性腹腔投与した動物群においては、単位時間あたりの後肢ひっかき行動が痒みモデル動物群と比較して優位に低下しており、ルテインがTRPA1 チャネルの阻害剤として機能し、慢性的な痒みの予防・緩和に効果があることが示唆された。令和2年度はコロナウイルスの感染拡大に伴い、動物実験の実施に大きな制限が課せられたこともあり、脊髄後核ニューロンにおけるc-fos 分子の発現解析については、現在進行しているところである。
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