2020 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子における天然変性領域と秩序領域による転写活性機能の解明
Project/Area Number |
20H01000
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤谷 和子 北里大学, 医学部, 教育系技術職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 天然変性タンパク質 / ERα1 / IDR-OR |
Outline of Annual Research Achievements |
固定した立体構造を取らないアミノ酸配列を持つ天然変性タンパク質であるエストロゲンレセプター (ERα1) の転写活性を、構造とその機能の関係から明らかにすることを目的として研究を行った。天然変性タンパク質は構造が不安定な Intrinsic disorder region (IDR) と強固な構造を持つ Ordered region (OR) から構成されることが多く、この構造は転写因子などに頻繁に見られる。性決定・性分化に関わる転写因子 DMRT1 の解析を行った 2018年度の奨励研究(18H00337) の研究結果から、私は IDR と OR が1セットとして機能するという仮説を立て、異なる転写因子である ERα1を用いて IDR-OR の単位で様々な欠失変異を作製して ERα1 の転写活性化能を測定した。 具体的には、測定に用いたのはヒトおよびアフリカツメガエルの ERα1 で、それぞれ10種類の欠失変異を作製した。DNA 結合ドメインをはさんでN末側、C末側両サイドから IDR-OR を欠失し、その転写活性化能を ER 結合配列を持つベクターを用いたルシフェラーゼ・レポーターアッセイにより測定をした。 その結果、IDR-OR の単位で作製した欠失変異の転写活性は、ヒトおよびアフリカツメガエルどちらも IDR-OR の単位でその活性化能が大きく変化することが分かった。今回の結果は DMRT-1 で見られたような種間での差は見られなかったが、IDR-OR はセットで機能する可能性を示唆するデータが得られたため、今後さらに変異体を増やし、さらには別分子で同様の結果が得られるかどうかの解析を行いたい。
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