Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
天然変性タンパク質であるエストロゲンレセプター (ERα1) の転写活性を、構造と機能の関係から明らかにすることを目的として研究を行った。天然変性タンパク質は Intrinsic disorder region (IDR) と Ordered region (OR) から構成されることが多く、私は IDR と OR が1セットとして機能するという仮説を立て、欠失変異を作成することで ERα1 の活性を測定した。その結果、IDR-OR の単位で作成した欠失変異の転写活性から、それらがセットで機能する可能性を示唆するデータが得られたため、今後さらに変異体を増やして解析を行いたい。
分子生物学
転写因子などに多い天然変性タンパク質は、その構造が不安定のために結晶化することが難しく、構造解析が出来ないことが多い。これまでは構造が強固で、比較的低分子のものしか構造解析が行われてこなかったが、今回の研究成果から発展し、天然変性タンパク質の機能と構造との関係を一般化して解明することが出来れば、創薬などを支える基礎データとなることも考えられる。難解であった複雑な複合体を形成した状態でのリガンドとの結合様式などを推測する技術に発展する可能性があると考えている。