2020 Fiscal Year Annual Research Report
覚醒剤の摂取証明に資するイオン液体マイクロ抽出法の開発
Project/Area Number |
20H01006
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Research Institution | 千葉県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
Principal Investigator |
濱本 拓也 千葉県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察研究職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | イオン液体 / マイクロ抽出 / 薬毒物分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】本研究では,国内で広く乱用されている覚醒剤メタンフェタミン (MA) の摂取証明の更なる高度化を目指し,MA摂取者尿に微量存在する代謝物であるp-ヒドロキシメタンフェフェタミン (p-OHMA) の遊離体を尿中から迅速・簡便・高効率で分離濃縮して検出できるようなイオン液体 (IL) マイクロ抽出法および機器分析法について検討した.
【方法】p-OHMAが強アルカリ性でアニオン化することから,ILにはアニオン高抽出能が期待されるトリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムのビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド塩 ([THTDP][NTf_2]) および塩化物塩 ([THTDP]Cl)を用いた.p-OHMAの水溶液を水酸化ナトリウムにより強アルカリ性にした後,一定量の水飽和ILを添加して撹拌抽出を行った.抽出前後の水相およびIL相を分析試料として,抽出条件や機器分析条件を検討した.
【結果】まず,水より高密度で少量のIL相を遠心法により容易に回収可能な[THTDP][NTf_2]を用いて,相比がIL/水=1/50の条件でp-OHMAの抽出を試みたが,殆ど抽出されなかった.そこで,[THTDP]Clを用いて同条件で抽出を試みたところ,約80%のp-OHMAが抽出された.[THTDP]Clは低密度で水面に浮遊してしまうため,少量のIL相を遠心法により回収することは困難であったが,固相抽出で使用されるポリスチレン製フリットに吸着させることで大部分のIL相を回収することができた.最後に,液体クロマトグラフィー質量分析法やガスクロマトグラフィー質量分析法などを用いて,回収後の[THTDP]Clからのp-OHMAの検出を試みたが,IL由来と思われるピークの影響により良好な分離検出を達成できなかった.今後,更なる機器分析条件の検討を試みる予定である.
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