2020 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞増殖能に関わるリークK+チャネルの細胞内局在部位の解明
Project/Area Number |
20H01009
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
野呂田 郁夫 山形大学, 医学部, 技術専門職員
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | TASK-3 / 癌細胞 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
リークカリウムチャネルTASK-3は一般的な細胞では形質膜に存在しているが、癌細胞ではミトコンドリア内膜にも発現している。この様な細胞内の局在変化が生存性や増殖能にどの様に影響するかを調べるため、TASK-3の変異体や融合体を作製し、癌細胞において細胞内の発現と局在を評価した。 ミトコンドリア内膜のpHの反応性を破綻させるために、TASK-3の酸感受性の責任部位であるアミノ酸配列98番目のヒスチジンの点変異を複数作製し、2電極膜電位固定法により膜電流を評価したところ、野生型と比べて電流-pH関係の傾きが鈍くなる変異体H98Kと殆ど酸感受性を示さない変異体H98Rを見出した。 ミトコンドリアの発現を調べるために、蛍光タンパクをアミノ基末端に融合させたTASK-3をHEK293、SH-SY5Y、PANC1の細胞株に発現させ、共焦点レーザー顕微鏡により生細胞観察を行なった。野生型、変異体ともにミトコンドリア染色試薬 MitoBright LT Red との共局在は殆ど認められず、カルボキシル基末端に蛍光タンパクEGFPを融合させたTASK-3でも同様であった。 本報告で用いたHEK293細胞株はTASK-3がミトコンドリアに内在している。また、TASK-3を発現しないC2C12細胞株でもミトコンドリアに外来性に発現することが報告されている。しかしながら、複数の細胞株において蛍光タンパクを融合させたTASK-3がミトコンドリアに殆ど発現しない。それ故、増殖能もしくは生存性を評価するまでに至らなかった。今のところ、癌細胞におけるミトコンドリアのTASK-3発現のメカニズムは不明である。この矛盾を解決するには、ミトコンドリアTASK-3の発現調節機構を明らかにする必要がある。この機構が解れば、癌細胞のTASK-3の役割も明らかになってくると思われる。
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