2020 Fiscal Year Annual Research Report
大規模医療情報データベースを活用した抗がん剤誘発末梢神経障害の新規予防法開発
Project/Area Number |
20H01031
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
生田 賢治 徳島大学, 病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | オキサリプラチン / 末梢神経障害 / 医療ビッグデータ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
【 目的 】各種がん治療においてキードラッグとなるオキサリプラチンの副作用として頻発する末梢神経障害は、患者の身体的苦痛を増悪し抗がん剤の減量・中止に繋がり患者の予後不良となることも少なくないため、副作用発現に対する予防戦略の確立が喫緊の課題となっている。基礎研究の領域ではこれまでにも神経保護効果が示唆される化合物は多数報告されているが、臨床研究への橋渡しが障壁となり実用化には至っていない。本研究の目的は、オキサリプラチン誘発末梢神経障害に対する新規予防薬の探索とその予防効果の作用機序を明らかにすることによって、オキサリプラチン投与患者に対する末梢神経障害予防薬の開発につながる基礎的知見を集積することである。 【 方法 】遺伝子発現データベースであるGEOおよびLINCSを用いたインシリコ解析により、オキサリプラチン誘発末梢神経障害への関与が報告されている分子 (GST, OCT, VRPV1など)の発現変動を抑制する既存承認薬を網羅的に探索した。また、米国食品医薬品局(FDA)に集積された約1000万例の薬剤副作用報告の大規模データベース(FAERS)から、オキサリプラチン投与による末梢神経障害発症の報告率を低下させる既存承認薬を抽出した。さらに、オキサリプラチン誘発末梢神経障害モデルマウスを作製し、ビッグデータ解析によって抽出した予防薬候補の末梢神経障害予防効果を評価した。 【 成果 】ビッグデータ解析から、 オキサリプラチン誘発末梢神経障害の予防薬候補として脂質異常症改善薬シンバスタチン抽出された。オキサリプラチン誘発末梢神経障害モデルマウスを用いた解析から、シンバスタチンは有意にオキサリプラチン誘発末梢神経障害を抑制することが明らかになった。
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