2020 Fiscal Year Annual Research Report
迅速な高感度同時測定系を活用した12種の広域抗菌・抗真菌薬のTDMおよびPK/PD解析
Project/Area Number |
20H01035
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
甲斐 真己都 大分大学, 医学部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 抗菌薬 / 集中治療部 / TDM |
Outline of Annual Research Achievements |
集中治療部(ICU)入室中の重症疾患患者では感染症を合併することが多い。特に、MRSA、緑膿菌およびカンジダはICUにおいて最重要視される起因菌であり、重症感染症合併時にはこれらの菌に対してスペクトルを有する薬剤による初期経験的治療が推奨されている。しかし、ICU患者では、様々な要因により体内動態が変動し、治療効果の予測が困難である。治療薬物モニタリング(TDM)により解決できるが、現行の測定系ではICUにおいて頻用される抗微生物薬を網羅的に測定することは不可能であり、薬物動態学的(PK)/薬力学的(PD)解析を実施することは困難であった。この課題を克服するために、ICUにおいて使用頻度の高い12剤の同時測定系を超高速高分離液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析(UPLC-MS/MS)を用いて確立した。また、菌の感受性試験結果を基に腎機能に応じた用法用量で投与した際のPK/PD解析を実施後、目標パラメータ値達成率を調査し、TDMの重要性を証明することを目的とした。 ICU入室中で上記薬剤のうち一種類以上投与されている患者を対象に、ピークおよびトラフにて血液を3 mL程度採取した。遠心分離後、上清を回収し、UPLC-MS/MSを用いて各薬剤の血漿中濃度を測定した。測定検体数は、ドリペネム:32検体、メロペネム8検体、リネゾリド4検体、ダプトマイシン3検体、テジゾリド3検体、レボフロキサシン4検体、シプロフロキサシン27検体、パズフロキサシン4検体、フルコナゾール3検体、ボリコナゾール3検体、ボリコナゾール N-オキサイド3検体であった。一部検体は解析に必要な十分量の検体数は集まっており、測定で得られた血漿中濃度と過去に報告されている母集団薬物動態モデルを用いて、ベイズ推定で算出したPKパラメータおよび各薬剤の菌に対するMIC値より、PK/PDパラメータを算出する予定である。
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