2020 Fiscal Year Annual Research Report
せん妄モデル動物における幻覚・妄想状態の根本的治療薬開発に向けた研究
Project/Area Number |
20H01042
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江角 悟 岡山大学, 大学病院, 薬剤主任
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 術後せん妄 / プレパルスインヒビション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では術後せん妄における幻覚妄想状態の評価モデル作成を目的として、リポポリサッカライド(LPS)誘発全身炎症がマウスのプレパルスインヒビションに与える影響を評価した。LPS(300-1000μg/kg)を投与し24時間後にプレパルスインヒビションを測定した結果、統計学的に有意ではないが300μg/kg投与群でプレパルスインヒビションが抑制され、高用量では抑制の程度は300μg/kgより小さかった。一方、120デシベルの音刺激に対する驚愕反応は500μg/kg投与群を中心にすべての用量でControlより低下したが、これも統計学的有意差は認められなかった。研究予算の関係で実施できなかったが、今後マウスの例数を増やすことで統計学的な差が生じる可能性がある。 また、術後せん妄の発現リスクを上昇させる薬物として知られるベンゾジアゼピン受容体作動薬の影響として、ジアゼパム(0.1-1mg/kg)の影響を評価した。その結果、ジアゼパム0.1mg/kgの腹腔内投与(実験30分前)によってプレパルスインヒビションが障害され、86デシベルのプレパルスを用いた場合に対照群と比較して有意にプレパルスインヒビションが障害された。高用量(0.3および1mg/kg)では0.1mg/kgと比較して障害の程度は小さく、U字型の反応曲線を示すと推察された。また、いずれのジアゼパム投与量によっても120デシベルの音刺激に対する驚愕反応に大きな変化は認められなかった。 ジアゼパムおよびLPSの併用作用を評価するためにジアゼパム0.1mg/kgにLPS 300-1000μg/kgを併用しプレパルスインヒビションを測定した。その結果、各薬物の単独投与時に認められたプレパルスインヒビションの障害作用は、併用投与時に消失することが明らかになった。
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