2020 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌患者に対するレンバチニブの母集団薬物動態解析
Project/Area Number |
20H01043
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
末繁 嘉朗 大分大学, 医学部, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 肝細胞癌 / レンバチニブ / 母集団薬物動態解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究目的)肝細胞癌の治療は肝予備能や癌の進行状態によっては経口分子標的薬が選択される。レンバチニブ(LEN)はその一つであり、優れた有効性をもつ一方で、早期に副作用により中断するケースも多く、そのポテンシャルを最大限には発揮できていない。LENは血液中のタンパク結合率が非常に高く、その代謝や吸収・排泄過程に関わる酵素やトランスポーターには遺伝子多型が存在することが分かっている。これらの種々の特徴からLENは個体間変動が大きく、至適投与量を決定することが難しい。この解決策として、薬剤を投与される患者群のモデルパラメータを構築し、個体間変動を定量化する母集団薬物動態(PPK)解析があるが、肝細胞癌患者を対象とした解析は行われていない。本研究では、肝細胞癌患者を対象としたPPKモデルを構築し、その有用性を評価することを目的とした。 (研究方法)LEN投与初日に合計7ポイント(投与前、投与後2、4、6、8、12、24時間)の血漿中濃度を、超高速高分離液体クロマトグラフ-タンデム型質量分析法を用いて測定した。PPKモデルに組み込む因子として、患者の年齢、体重、併用薬、Child-Pugh(CP)分類などの情報を電子カルテから抽出した。 (研究成果)研究期間中に21名の患者エントリーがあり、全ての患者の血漿中濃度を測定した。肝予備能別では、CP分類Aが15名、Bが6名と、肝予備能が良好な症例が多く含まれていた。しかし、同じCP分類の患者間でも血漿中濃度に大きなばらつきが見られ、CP分類による評価だけではLENの至適投与量を決定することは難しく、肝予備能以外の因子を組み込んだPPKモデルの必要性が再確認された。今後は、代謝酵素やトランスポーターの遺伝子多型の解析を行い、収集した肝予備能以外の患者情報も含めてPPKモデルを構築し、その有用性について検討する予定である。
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