2020 Fiscal Year Annual Research Report
日常診療情報・遺伝子解析による免疫チェックポイント阻害薬の有害事象リスク因子探索
Project/Area Number |
20H01058
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松金 良祐 九州大学, 大学病院, 薬剤師
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Project Period (FY) |
2020-04-01 –
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害薬 / 患者レジストリ / 免疫関連有害事象 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従い、当院でのICI使用患者の治療効果、irAEの発生時期や重症度、さらに治療前後の臨床検査値など日常診療情報を網羅した患者レジストリの構築を継続した。免疫チェックポイント阻害薬の適応拡大に従い、2021年3月時点において14癌種に対し、800名を超える患者の登録を行うことができた。 免疫関連有害事象(immune-related adverse events, irAE)の早期発見および予測のために、患者個々のHLA遺伝子型の解析がirAE発症のリスク因子の新たな指標となる可能性を考慮し解析を試みた。しかしながら多様なirAEの発現に対し新規のリスク因子として導出することはできなかった。さらなる症例の追加が必要だと考えられる。 一方、レジストリに蓄積される多くの臨床情報から、各々のirAEのリスク因子解析を実施した結果、血液中の好中球とリンパ球の比である好中球/リンパ球比(neutrophil to lymphocyte ratio, NLR)が間質性肺炎の予測因子となることが分かった。間質性肺炎発症患者では発症もしくは自覚症状出現の4週間前より徐々にNLRの上昇がみられていた。また発症時点でのNLRの上昇はその後の間質性肺炎の重症化と相関しており、重症度の予測にも使用できることが示された。日常臨床マーカーであるNLRはいずれの施設においても利用可能であり、今後さらなるエビデンスの蓄積によりirAE早期発見のバイオマーカーとして利用可能と考える。
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